3月18日(金)に、第3学期終業式を行いました。式辞として、次のような話を生徒たちにしました。
おはようございます。今年度も、あと少しとなりました。勉強や部活動などで目標を立て、何かに取り組み続けている人は多いでしょう。
私も、皆さんにならい、4月から続けていることが、いくつかあります。そのうちの一つは、校長室に四つある、鉢植えの胡蝶蘭を大事にすることです。胡蝶蘭は、温度や湿度の管理が必要なため、温室以外の場所で育てるのは難しく、美しい花の時期が終わると、枯れてしまうことも多いそうです。贈ってくださった方の気持ちがありがたく、できるだけ長く生かしたいと思い、定期的に水や液肥をやり、毎日、仕事の前や後に、日差しを浴びせたり、冬場の朝と晩には、比較的暖かい場所へ移動させたりと、植物の気持ちを想像しながら、世話を続けました。
すると、初めのころは、花を咲かせることを目標にしていたのが、やがて、葉の色つやがよいことだけでも、うれしいと感じるようになりました。今では、花芽が伸びたものも、花芽が出なかったものも、同様に愛おしく思います。
あることに取り組み続けると、それまでの感じ方や考え方が広がったり、深まったりします。皆さんも、そのことを、勉強や部活動などをとおして実感したことはありませんか。去年の6月に行われた県高校総体のスローガンの中に、「バトンをつなぐ」という言葉がありました。インターハイに出場した本校の3年次生に、「あなたにとって、先輩から受け継ぎ、後輩につなぎたいバトンは何ですか」ときくと、「努力を続ける、ということです」との答えが返ってきました。よく耳にする言葉ですが、そのときは、とても力強く響き、感動しました。
川之石高校には、107年前に創立されて以来、受け継がれている伝統があります。それは、「実践」を重んじて、「体験」から学び、「人格」を養う、ということです。生徒の皆さんには、これからも、目標を立て、それに向かって努力を続け、自分自身を高めてほしいと思います。そのことを心から願い、第3学期終業式の式辞とします。
令和4年3月15日(火)、絶好のスポーツ日和の中で、第3学期校内球技大会を開催しました。1年次生と2年次生の皆さんに、次のような話をしました。
【開会式】
今年度、最後の校内球技大会です。これまでの大会と違い、3年次生がいないので少しさみしい気はしますが、2年次生と1年次生だけで行う初めての学校行事となり、4月から最上級生となる2年次生の皆さんと、中心学年となる1年次生の皆さんにとって、早めに気持ちを切り替え、自分を高めるチャンスでもあります。
前回の球技大会のあいさつの中でも話したように、「対戦相手を敬い、ルールと審判を尊重して、スポーツを楽しむ」、その誠実さを、この大会でも持ち続けてください。相手を大切にする人は、相手からも大切にされます。部活動で成果を上げる、資格を手に入れる、進路実現を果たす、いずれも自分ひとりの力では成し遂げることはできません。何事もチームワークが大事です。皆さんが一つのチームとなり、川高をますます魅力的な学校にしてくれることを、心から期待しています。
これまで同様に、感染症予防のための「マスク着用」「手洗い」「手指消毒」に努め、楽しく有意義な大会にしましょう。
【閉会式】
絶好のスポーツ日和の中、楽しく思い出に残る球技大会となりましたか。スポーツをしているときは、心も体も競技に集中し、我を忘れていたと思います。その、「一瞬一瞬に集中する」ことを何事においても大事にしてください。そのような取り組み姿勢での、努力の継続が、勉強や部活動において、すばらしい結果を生み出します。
今日も含め、これまでの校内球技大会で学んだことを、どうか今後に生かしてください。
大会の準備や運営に協力してくれた生徒の皆さんに感謝の気持ちを伝えて、あいさつとします。
令和4年3月1日に発行した川之石高校図書館報に、「小さく弱いもの」と題した文章を書きました。
本を読みながら目頭が熱くなることがよくある。人の優しさや生きる悲しみが感じられる話に涙腺が緩む。特に、幼い子の無垢な優しさや健気さ、悲しみに触れると、涙が止まらない。
『小さな勇士たち-小児病棟ふれあい日記-』(NHK「こども」プロジェクト)に収められた話の中に、5歳の素平(そへい)さんと司(つかさ)さんとの絆と、二人の「命の輝き」が書かれている。
素平さんは3歳の時に小児がんを患い、寝たきりの闘病生活となった。そして、頭部にできた腫瘍が視神経を圧迫し目が見えなくなった。それでも周囲の人びとの状況を敏感に察知し、ユーモアにあふれた言葉をかける。一方、司さんは、足を骨折して1か月ほど個室に入院後、素平さんのすぐ隣のベッドに移ってきた。初めての入院で、個室にいたころはギプスをして動けず、しばらく泣いてばかりの毎日が続いた。
やがて司さんは、目の見えない素平さんに、人が来たことを教えたり、耳で聞いて遊べる言葉遊びに誘ったりするようになった。素平さんは、司さんの優しさに「ありがとう」と応え、心の底から楽しそうな表情で一緒に遊んだ。
二人の関係は、司さんが素平さんを助けてあげていると思われたが、司さんもまた、素平さんによって助けられ、救われていた。自分よりもはるかに辛く苦しい状況にある友達が懸命に頑張っている― その姿を間近に見ることが司さんを強く、そして優しくさせた。
残された時間がそう長くはない素平さん。ご家族は、最期まで病院で過ごさせることを決断された。治る気でいる素平さんにとって、治療を続けるということに大きな意味があり、周りの人たちと楽しい言葉を交わすことが、本人には最も幸せなことと考えたからだ。
ある日、司さんは、取材者に車いすに乗せてもらい、本を持って素平さんに尋ねた。「素平くん、そっちに行っていい?」素平さんは、首に転移した腫瘍がはれてきて、声があまり出なくなっていた。声だけでなく体力が少しずつ落ちて、眠っている時間が長くなってきていた。それでも、かすれ声で、「いいよー。司くん、気をつけてきてねー」と答える。本を読んでもらい、物語の世界に入りこんでいった二人は、登場するうさぎについて楽しく話をした。
素平さんの6歳の誕生日。司さんは、加熱していないものが食べられない素平さんのために、チョコレートケーキを母親に作ってもらいプレゼントした。ほとんど何も口にできなくなっていた素平さんだったが、ケーキをひと切れ、パクっと食べ、かすかな声で言った。「みんなで分けて食べてね…。みんなで食べるとおいしいから…」。誕生日から11日後、素平さんは眠っている間に静かに息を引き取った。
いつも周囲に気を配り、日常の小さな出来事の中に楽しみを見つけ、辛い治療に耐えて夢や希望を語った素平さん。そんな素平さんの力になり、喜んでもらうことを健気に考え続けた司さん。素平さんの「命の輝き」は、小さく弱い光であったかもしれない。しかし、司さんの心に届き、彼を大きく成長させた。そして私も、二人に人間として大事なものを教えられ、活力や体の機能が低下し衰弱した状態であっても、「気をつけてきてねー」と友達を気遣う素平さんの優しさと悲しみを思い、泣いた。
読書には、時間や空間を超えて様々な人物に出会える楽しみと喜びがある。そして、大きなことよりも小さなことの中に、強いものよりも弱いものの中に、より大切なものが包み込まれていると信じる私は、それを確かめるためにも本を読む。
令和4年3月1日(火)、本校体育館で、御来賓と保護者の方々の御臨席のもと、第73回卒業証書授与式を挙行いたしました。厳粛な中にも心温まる卒業式にて、卒業生の皆さんに、次のような話をいたしました。
【式辞】
校庭の木々の芽も膨らみを増し、明るく暖かい春の息吹が感じられる今日の佳き日に、御来賓のPTA会長・宇都宮雅恵様並びに保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和3年度 愛媛県立川之石高等学校 第七十三回卒業証書授与式を挙行できますことは、我々教職員一同の、この上ない喜びであります。厚くお礼を申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました九十九名の皆さん、卒業おめでとうございます。心を込めて拍手を送り、お祝いを申し上げます。また、保護者の皆様には、お子様の御卒業、まことにおめでとうございます。大切に慈しみ育ててこられたお子様が、このように立派に成長され、本日ここに卒業の日を迎えられましたこと、感慨もひとしおのことと拝察いたします。心からお喜びを申し上げます。
さて、高校3年間は、基礎・充実・発展の三つの時期に分けられます。卒業生の皆さんは、充実期の2年次と発展期の3年次に、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。多くの教育活動において様々な制約が余儀なくされ、皆さんの安全・安心のためとはいえ、残念な気持ちになったり、悔しい思いをしたりしたこともあったでしょう。そうした中でも、皆さんは、誰もが経験したことのない困難な状況を冷静に受け止め、自らすべきことや、できることに、進んで丁寧に向き合い、やりがいや楽しみを見出しながら一生懸命に取り組まれました。私はその姿を見て、いつも深く感心し、頼もしく思ってきました。人類の歴史に大きく記されるであろう「コロナ禍」を、たくましく乗り越えてこられた皆さんの、この2年間は、今後の皆さんの人生に必ず生かされる、意義深く貴重な充実・発展期であったといえます。自信を持ち、この経験を糧にして歩み続けてください。
そのような皆さんに、一つだけ話しておきたいことがあります。それは、日々の暮らしの中で、目の前の人に対して、見過ごされそうな小さな善い行いを心がけてほしい、ということです。大きなことよりも小さなことの中に、より大切なものが包み込まれていると思いながら、何気ない振る舞いや表情、言葉遣いや言葉そのものを大事にしてください。例えば、皆さんが誰かに、「こんにちは」とか「ありがとう」と笑顔で言葉をかけたことによって、声をかけられた人の心が明るくなり、その人が少しでも前向きな気持ちになったとすれば、それだけで、皆さんの人生は重要な価値を持ちます。そして、それらの小さな善い行いを心がけることによって、素敵な大人になっていきます。まずは今日、御家族の方に、思いを込めて感謝の気持ちを伝えてください。
終わりになりましたが、保護者の皆様方には、長い間、本校を温かく見守ってくださり、多大なる御支援と御協力を賜りましたこと、重ねて感謝を申し上げます。卒業生の皆さん。様々な学校行事を皆さんと一緒に楽しみ、喜び、感動した思い出は、私にとっての宝物です。本当にありがとうございました。皆さんが、毎日仰ぎ見て来られたヒマラヤスギは、今日の卒業式を祝い、これからも皆さんを見守ってくれるはずです。川之石高校で過ごした3年間を忘れないでください。新しいそれぞれの道を誠実に進んで行かれる皆さんの御多幸と御活躍をお祈りし、式辞といたします。
令和四年三月一日
愛媛県立川之石高等学校長 佐々木 進
2月3日(木)に校内において、本校生徒が3年間学習する「総合的な探究の時間」の集大成となる『総合発表会』を、オンラインで実施しました。3年次生の「総合探究Ⅱ」、2年次生の「総合探究Ⅰ」、1年次生の「産業社会と人間」。それぞれの年次を代表して発表してくれた生徒たちの発表は、いずれも充実したすばらしいものでした。開会行事のあいさつと全体講評で、生徒全員に次のような話をしました。
【開会行事あいさつ】
第24回総合発表会の始まりに当たり、本校の特色をまとめた『学校案内』について少し紹介します。表紙に、「新しい私、どんどん見つかる」というキャッチフレーズを載せています。これは、総合学科の本校では幅広い進路選択に対応するため、生徒皆さんの主体性を尊重し、個性を伸ばす教育を行い、皆さん自身が「新しい私」を見つけることができるよう様々な取組を行っていることを表した言葉です。
その中の 大切な取組の一つが、「総合的な探究の時間の充実」です。1年次生の「産業社会と人間」、2年次生の「総合探究Ⅰ」、3年次生の「総合探究Ⅱ」、それらの学習をとおして、自分の将来像を描き、課題を発見し、研究を行います。そして、その成果を皆で共有する学習の場が、この総合発表会です。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって、一つの会場で、保護者の方や地域の方々をお招きして開催することはできませんでしたが、代表となった生徒の皆さんには、自分の研究について存分に発表してほしいと思います。大いに期待していますし、楽しみにしています。
視聴する生徒の皆さんには、発表の内容はもちろんのこと、発表者の、研究に対する気持ちや姿勢からも多くのことを学んでほしいと思います。そして、この発表会が皆さんにとって、「新しい私」を見つけるきっかけや手助けとなれば本当にうれしく思います。終わりに、会の運営や進行に協力してくれている生徒の皆さんに心からお礼を述べ、開会のあいさつとします。
【全体講評】
総合探究Ⅱの研究発表をしていただいた11名の皆さん、ありがとうございました。皆さんの研究すべてが独創的で興味深く、大変すばらしいものでした。全体講評に当たり、発表された研究においてすばらしいと感じた点と、1・2年次生の皆さんに今後こうしてほしいと思うことについて話しをします。
まず、どの発表も、何を研究するのか、どうしてそれを研究するのか、といった課題意識やテーマ設定の理由がわかりやすく、とても説得力のあるものでした。それは、自分が強く関心を持っていたり、卒業後も勉強をしたいと思っていたり、将来の職業に関わったりすることの中から、課題やテーマを見付けているからです。そのため、自分が感じている興味深さを多くの人と共有したいという思いや、自分の将来に役立てたいという願いが強く感じられ、自ずと研究への取り組み方が積極的で真剣となり、それが、研究内容を生き生きとさせているのだと思います。研究をするときには、自分にとっての「切実な課題やテーマ」、すなわち「直接関係があって、おろそかにはできない課題やテーマ」を見付け、その解決に一生懸命に取り組むことが、いかに楽しく大事なことであるかを発表者の皆さんが示してくれました。
次に、大きな課題やテーマを解決することは、なかなか難しく時間がかかります。ですから、研究したいと思う課題やテーマが大きければ大きいほど、まずはそれを小さく分けて、その中で、自分としては最も重要で、解決を急ぎたいと思うものに焦点を当て、研究に取り組んでみてください。例えば、「八幡浜市の活性化」という課題はとても大きいので、「八幡浜市」を産業や生活、医療、福祉、交通、教育、文化などの観点からとらえ直し、その内のどれかに焦点を当てて、その現状を調べたり、どのような状態であれば「活性化」したと言えるのかとか、そのような状態になるためには何が必要かなどを考察したりすると内容が深まり、次の課題にもつながる、広がりのある研究になります。
今、話をした二つのことに共通するのは、「課題やテーマ設定の大切さ」ということです。では、自分にとっての切実な課題やテーマを見付けるためにはどうすればよいか。ここで、開会のあいさつで話したことに戻りますが、総合的な探究の時間をはじめ、本校での様々な取組を通じて自分の将来像を描き、その実現を目指して努力する中で、自分にとっての大切な課題やテーマは見つかります。
3年次生は探究活動で学んだことを生かし、これからも「新しい私」を見つけ続けてください。2年次生と1年次生は今後の学校生活を一層充実させ、自分の研究に一生懸命取り組んでください。
1月24日(月)の4時限目に、来る1月30日(日)に松山市で実施される第34回介護福祉士国家試験を受験する3年次の生徒たちに、激励の気持ちを込めて、次のような話をしました。
皆さんが1月30日に行われる介護福祉士国家試験に備えて頑張っている様子を、先生方から聞いています。私も自分のスケジュール帳に国家試験のことを書き込んで、皆さんを見守っています。
これから二つのことをお話しします。一つ目は、今日と試験当日を含め、まだ一週間ある、ということです。授業や介護実習等で学んだ内容を復習する時間は十分にあります。この7日間を大切にし、試験直前まで精一杯努力をしてください。
二つ目は、先生方の指導や連絡をしっかり聞くとともに、自分でも、『受験の手引き』に書かれている「試験当日の注意事項」や、社会福祉振興・試験センターホームページの「受験者に向けたお知らせ」などを十分に確認してほしい、ということです。介護福祉士の仕事は、人を支え、人から信頼されるものです。その職に就く者には、自己管理を行い、自分で考え、責任をもって行動できることが求められます。受験に際し、そのことを再認識するとともに、実行してほしいと思います。そのように、自分の力を高めるチャンスととらえれば、受験に対する気持ちも前向きになります。特に、新型コロナウイルス感染症については、『受験の手引き』等にその対応が書かれています。健康管理を怠らず、感染予防を徹底してください。
皆さんの中には、心配をしたり不安になったりしている人がいるかもしれません。でも大丈夫です。誰もがそのような気持ちになるものですし、適度な緊張感は集中力を高める効果があり、むしろ必要なものです。これまでの学習で培ってきた力と、受験に備えた努力に自信を持って、試験に臨んでください。皆さんをいつも応援しています。
令和4年1月11日(火)、第3学期の始まりに当たり、校内放送にて生徒に次のような話をしました。
皆さん、おはようございます。年末・年始をゆっくりと過ごしながら、勉強や部活動、家の手伝いなど、いろいろなことに取り組まれたことでしょう。
先月、2学期の終業式で、皆さんに二つのことを話しました。一つは、「反省する」ということについて。自分の言動で悪い点があれば、どうすればよかったのか、今後どうすべきかを考え、自分の生き方を変えることが大切だ、という話でした。もう一つは、「学ぶ」ということについて。新しいことを知れば知るほど、自分の知識や感情が豊かになり、他の人とのつながりが広がり、楽しみや喜びも増える、という話でした。これからも、この二つの話を思い返してください。
さて、皆さんには、何か一生懸命に取り組んでいることがありますか。それをしていると、夢中になってしまい、我を忘れてしまうようなことです。昨年11月、将棋の世界での八大タイトルのうち、最高峰の一つである「竜王戦」で、竜王の豊島将之さんに藤井聡太さんが挑みました。結果は、激闘の末、藤井さんが豊島さんに勝って新たな竜王となり、史上最年少の19歳3か月で八大タイトルの半分を占める「四冠」となったことが、ニュースに大きく取り上げられました。歴史的な名勝負と言われるこの対局に関する報道の中で、特に印象に残ったことがあります。豊島さんの、「純粋に、対局している瞬間が気持ちのいい時間でした」という感想と、藤井さんの、「純粋な将棋の楽しさを共有できたことが本当に幸せだった」という感想です。想像を超えるような厳しい研究を毎日積み重ねておられるであろう、お二人が、異口同音に「将棋の奥深さに触れたことの喜び」を語っておられたのが印象的でした。自分のすべきことや将来にかかわることに一生懸命に取り組むことで、深い喜びを感じる。皆さんにもそうあってほしいと、強く願っています。
現在再び、世界規模で、そして日本国内においても新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しており、愛媛県でも先日、独自の警戒レベルが「感染警戒期」に引き上げられました。私たちは、これまで行ってきたことを、誠実に繰り返すしかありません。すなわち、
〇 マスクの常時着用、こまめな手洗いや手指消毒、換気などの3密回避行動を徹底する
〇 不要不急な外出をできるだけ控え、家庭での健康管理をしっかりと行う
〇 皆さん自身だけではなく、ご家族の誰かが体調不良を感じられたら、学校に来ることを控え、医療機関を受診する
これらのことに、根気強く、粘り強く、取り組んでいきましょう。
皆さんが、元気で充実した3学期を送られることを期待して、式辞とします。
本日12月20日(月)、第2学期終業式を行い、式辞として次のような話をいたしました。
皆さん、おはようございます。この終業式の後、ゆっくり時間をかけて2学期の自分を思い返し、今年1年を振り返ってください。
さて、「反省」という言葉から何を思い浮かべますか。「ごめんなさい」とか「気を付けます」という言葉や、頭を下げる、気持ちが落ち込むなどの行為を想像する人がいるかもしれません。反省とは、自分の過去の発言や行動を振り返り、悪い点を認めたり、悪い点がなかったかどうかを考えたりすることです。そして、どうすればよかったのか、今後どうすべきかを考え、自分を変えることです。
自分のよくないところを認め、正直に謝り、自分を情けなく感じるのは、大事なことです。ただ、そこに止まってしまえば、反省としては十分ではありません。一歩進み、自分の考え方や行動を変える努力をすることが、本当の反省です。「反省を生かす」というのは、自分の生き方を変える、ということなのです。もちろん、すべてを一度に変えるのは簡単ではありません。私の場合は、自分にとって優先順位が高く、取り組みやすいことをいくつか選び、それらを習慣になるまで繰り返しています。
話を聞いて、「なるほど」とか「自分はどうか」と思ってくれた人がいれば、とてもうれしいです。なぜなら、学ぶことの楽しさを感じてもらえた、と思うからです。4月、入学間もない1年次生に、私が確信している二つのことを話しました。そのうちの一つは、思いもよらなかったことに気付き新たなことを知ること、すなわち「学ぶこと」、の楽しさについてです。いろいろな言葉や考え方を知れば知るほど、頭の中の世界が広がり、自分の心の中の、知識や感情の「引き出し」が多くなること。それにともない、会話をすることがおもしろくなり、相手を思いやる大切さにも気づき、楽しみや喜びが増えること。私が、経験をとおして固く信じている、それらのことを1年次生に伝えました。学校ホームページの「校長室より」にも載せていますので、興味がある人は、読んでください。
第2学期の終業式にあたり、「反省する」ということと、「学ぶ」ということについて話をしました。皆さんにも、それらのことを、冬休みを利用してじっくりと考えてほしいと思います。校訓の一つである、「自学」の実践です。そして、新型コロナウイルス感染症の予防をしっかりと行い、体調には十分に気を付けて、よい年を迎えてください。3学期の始業式で、皆さん全員と元気に挨拶を交わせることを楽しみにしています。
12月13日(月)に第2学期校内球技大会を実施しました。グラウンド、体育館、卓球場及び武道場を会場とした四つの種目(サッカー、硬式テニス、バドミントン及び卓球)に分かれた生徒たちは、それぞれに熱戦を繰り広げ、競技を楽しんでいました。開会式と閉会式で、次のような話を生徒たちにしました。
【開会式】
皆さん、おはようございます。今日の球技大会を楽しみにしていた人は多いでしょう。私もスポーツが大好きで、自分でプレーをするのも他の人のプレーを観るのも楽しんでいます。「スポーツ」という言葉の由来や起源が、「気持ちを移すこと」すなわち気分転換からきているという話を以前に聞き、なるほど、と思った記憶があります。スポーツをしているときは心と体が集中していて他のことが気にならず、体を動かせば気持ちまでも高揚して清々しい気分になるからです。皆さんもそれぞれ競技に参加し、心と体をリフレッシュしてください。
スポーツが楽しいのは何故か。同じ勝利を目指し競い合う相手がいて、ルールがあり、それ守るための審判がいるからだ、と私は思っています。競技に真面目に取り組まず、ルールもなく、あってもそれを守らなければ、きっと、つまらないものとなり、スポーツではなくなるでしょう。
そこで、皆さんにお願いです。対戦相手を敬いルールと審判を尊重して試合に臨んでください。そのためにも、十分な備えをしてケガを防ぎ、時間を守ってください。そして、これまで同様に3密を避け、試合中を除いて、声を出しての応援や友達と話しをするときはマスクを着け、手指消毒をしっかりと行うなど、新型コロナウイルス感染症の予防に努めてください。
「心と体をリフレッシュする」、「相手を敬い、ルールと審判を尊重する」。このことを心にとめ、今日一日を有意義に過ごしてください。皆さんが生き生きとプレーされることを期待して、開会のあいさつとします。
【閉会式】
皆さん、競技を楽しみ、心も体もリフレッシュできましたか。すべての会場をまわり、皆さんの生き生きとした姿を観て、とてもうれしい気持ちになりました。そして、「スポーツはいいなぁ」と改めて思いました。
開会式のあいさつの中で、スポーツは、競い合う相手がいて、ルールがあり、審判がいるからこそ楽しいという話をしました。中でも、球技種目は特に、仲間と連携し、一緒になって勝負を競う楽しさや喜びを味わうことができます。本校が、「スポーツ大会」ではなく、「球技大会」の名称を使ってきたのは、「よい仲間づくり」を大切な目的の一つにしているからでしょう。
いろいろな大会の選手宣誓の中で、「スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と戦う」という言葉が使われます。それは、相手を敬い、ルールと審判を尊重して戦うこと、そして、もし負けても、卑屈にならず、相手を称え、次に向かって進むこと、それらを選手たちを代表して誓っているのだと思います。
皆さん、仲間と一緒に楽しんだ球技大会を通して学んだことを、どうか今後に生かしてください。最後になりますが、大会の準備や運営に協力してくれた生徒の皆さん、本当にありがとうございました。感謝の気持ちをお伝えして閉会のあいさつとします。