8月2日(月)に、本校で令和3年度 中学生一日体験入学を実施しました。南予を中心として各地域の中学校から、多くの生徒や保護者、教員の方々にご参加いただきました。その皆様を前に、次のような話をいたしました。
本日は、川之石高校(「川高」)の一日体験入学にご参加いただき、誠にありがとうございます。心からお礼を申し上げますとともに、皆様を大歓迎いたします。
本校の正門を入られた際に、校舎の前に美しくそびえたつ「ヒマラヤスギ」をご覧になられたでしょうか。お配りしている「一日体験入学 しおり」の表紙やカラー印刷の「学校案内パンフレット」の裏表紙にも、その姿を載せています。創立から107年目を迎える、伝統ある本校の歴史とともに、生徒たちを見守ってくれている、本校のシンボル・ツリーです。空に向かって梢を高く伸ばすためには、それを支えるための根を地中深く広げなければなりません。本校では、このヒマラヤスギのように、生徒たちが自分の輝く未来のために、高い志を持って進路を選び、日々の授業や部活動、学校行事などに一生懸命に取り組みながら、自らの人間力を磨き広げています。そして、私たち教職員も、そのような生徒たちの学びと成長を精一杯支えています。
この川高の特長を表すキャッチフレーズは、学校案内パンフレットの表紙にある、「新しい私、どんどん見つかる」です。本校は、県内に3校ある総合学科の高校の一つとして、生徒一人一人が自分の興味・関心や能力、適性とじっくりと向き合い、希望の進路を見付け、意欲的に学習できる環境を整えています。学校案内パンフレットには、本校が県立高校では唯一の福祉系高校であることや、農業科目を多数用意して、農産物の生産・販売だけでなく加工品の生産・販売も行う中で最先端の取組を実施していることなど、入学後に、六つのコースに分かれて専門的な学習ができることを詳しく書いています。ぜひ、後でお読みください。
本日は、生徒会の生徒たちによる学校紹介の後、授業を体験していただいたり、部活動を見学していただいたりします。新型コロナウイルス感染症や熱中症の対策に努めておりますが、皆様におかれましても、十分にお気をつけいただき、少しでも体調に不安を感じられましたら、無理をなされず、遠慮なく近くにいる本校教職員にお声がけください。
この一日体験入学が、皆様に川高を知っていただく機会となり、進路選択の参考となりましたら幸いです。終わりに、生徒の皆さん、この夏休み以降、ご自分の進路実現を目指して、どうか充実した毎日を送ってください。
本校PTAだより 第46号「ひまらや杉」に、「『バトン』をつなぐ」と題した文章を書かせていただきました。
6月に開催された愛媛県高等学校総合体育大会に、本校から95名もの生徒が出場しました。壮行会の校長あいさつの中で、去年の県高校総体が中止となったことに触れ、昨年出場がかなわなかった先輩方の思いを感じ取ったときの自分の気持ちと、今年の県高校総体で試合ができる喜び、その両方を思い出して、弱気になりそうな自分を奮い立たせてほしいとエールを送りました。
今年の県高校総体のスローガンは、「繋(つなぐ)~あの日渡せなかったバトンを、今~」でした。力の限りを尽くして戦う生徒たちを応援しながら、どのような「バトン」を先輩から渡され、後輩につなぐのだろう、と想像しました。県高校総体に続いて四国高校総体でも上位入賞を果たし、全国高校総体(インターハイ)への出場権を勝ち取った陸上部の3年次生に、「あなたにとっての『バトン』とは何ですか」と質問すると、「一生懸命に努力し、それを続けることです」と答えが返ってきました。教える子に教えられることほど教師冥利(みょうり)に尽きることはありません。生徒の話を聞きながら、胸が一杯になりました。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、私たちの生活は大きく変わり、「新しい生活様式」が社会全体で模索されています。そのような中、教育に携わる者として「バトン」のようにつなぎ続けるべき姿勢について考えることがあります。そのときによく思い浮かべるのは、宮沢賢治の作品『なめとこ山の熊』の中の、淡い月光に照らされながら母熊が子熊の思い込みや間違いを一つ一つ丁寧に説明しながら正していく場面です。生き物は食べたり食べられたり、すなわち命を奪い奪われたりする中を生きるしかありません。子熊の甘えに調子を合わせたり、機嫌をとったりしない母熊の凛(りん)とした姿からは、そのような世界に生きざるを得ない子熊に、正しく強い生き方を教えておきたいという深い愛情が、切ないほどに伝わってきます。そして、教育もまた、そのような深い愛情と未来を見通した考え方を持って生徒一人一人に向き合うことから始まるのだ、と自分を戒めます。
4月の入学式の式辞の中で、「いつもとかわらず春が巡ってきたように、コロナ禍の中で社会の動きが滞っている間にも、子供たちは成長を続けます」と話しました。教育の「バトン」をつなぎ、教職員一同で力を合わせ、子供たちの学びと成長を支えて参ります。
本日7月20日(火)、第1学期終業式を行いました。式辞として、生徒や教職員の皆さんに次のような話をしました。
生徒の皆さんにとって、どのような1学期でしたか。勉強や部活動、家の手伝いなどで、しなければならないことや、しようと思ったことが、十分にできましたか。今、「できなかったなぁ。」と思った人は、これからの夏休みの間に、その理由やできるようになるための方法を考え、それを実行してみてください。もし、うまくいかなければ、改めてできなかった理由を探し、どうすればできるようになるかを、もう一度 考え、新たな方法を見つけ出し、それを試してください。
人間の能力には、それほど大きな差はありません。あるのは、あきらめずに何度も何度も挑戦するか、しないかの差です。できない・挑戦する、やっぱりできない・もう一度挑戦する、これを繰り返しながら、自分を信じ、辛抱づよく前向きに努力し続ける人に、できなかったことができるようになったり、これまでよりもうまくできるようになったりする「チャンス」が訪れるのだと思います。皆さんには、そのような「挑戦と努力を続ける人」であってほしいと願っています。
ただ、挑戦や努力を続けることは、とても難しいことです。どうしてもできない人や、続かない人もいるでしょう。中には、できなかったり続かなかったりすることを繰り返すうちに、自信をなくし、「自分ははなんてダメなんだろう。」と自分の価値を見失いかけている人もいるかもしれません。皆さんの中に、もし、そのような人がいれば、4月の第1学期始業式で話した、「誠実であることの大切さ」を思い出してください。真心を持って、人と接したり何事にも取り組んだりする姿は、必ず誰かを勇気づけ、前向きな気持ちにさせ、やさしい気持ちにさせます。ですから、誰に対しても誠実に接している人は、それだけで、十分に重要な価値を持つのです。誠実でありたいと考え、その思いを行動にあらわしている皆さんは、どうか自信を持ってください。そして、ゆっくりと少しずつで構いません。挑戦し努力することを、また始めてください。
皆さんが、新型コロナウイルス感染症の予防をしっかりと行い、元気で有意義な夏休みを過ごされることを期待しています。1か月後の2学期の始業式でまた、皆さん全員と笑顔で再会できることを心待ちにしています。
7月7日(水)に、第1回防災退避(津波避難)訓練を行い、避難の際の心構えや態度を確認したり見直したりすることができました。訓練の終わりに消防署員の方から講評をいただいた後、次のようなあいさつをしました。
今日の防災退避訓練に、平成30年7月の西日本豪雨災害のことを思いながら臨みました。御指導をいただいた八幡浜地区施設事務組合消防署の方々には、心からお礼申し上げます。ありがとうございました。私たち生徒・教職員全員で、消防署員の方からいただいた貴重な御助言を生かし、一人ひとりの命を守りましょう。
津波避難の際に、大声で周囲の人に危険を知らせることは大切なことです。一方で、おしゃべりをしながら避難することには問題があります。避難時には、放送等による指示や注意喚起を聞き逃さず、危険を察知する感性を高めておくことが必要ですが、おしゃべりに夢中になることは、それを妨げてしまいます。今、体育館に来るまでに、おしゃべりをしてしまった人がいれば、そのことを再認識してください。
訓練では、さまざまな状況を想定しながら、とるべき行動を考えることも大切です。パニック状態、渋滞や事故、道路の寸断、火災などが起きた場合、どこへどのように逃げるのか。「自助」と「共助」という言葉があります。自助すなわち、自分の身体や命を自分の努力によって守ること。共助すなわち、地域や近隣の人同士が協力し合い、自分たちのまちを、自分たちで守ろうとすること。その両方の観点から、とるべき行動を考えてみましょう。
その、共助にかかわることとして、この訓練の後、本校3年次生の河野悠大さんと村上圭吾さんに対し、八幡浜市内での火災において初期消火等に協力した功績が称えられ、八幡浜地区施設事務組合消防署の消防長様から感謝状をいただきます。本校としても、とても名誉なことであり誇らしいことです。最後に、そのことを皆さんにお伝えします。
7月6日(火)、第1学期校内球技大会の後で、全国高校野球選手権愛媛大会に出場する本校野球部の壮行会が行われました。あいさつの中で次のような話をして、選手の皆さんを激励しました。
第103回全国高等学校野球選手権愛媛大会が、7月10日からいよいよ始まります。本校野球部の皆さんには、全員の力を合わせ、一球一球、戦い抜いてほしいと思います。
皆さんは、普段から毎日、「徹底力」を高め、磨いています。あいさつや道具の扱い方、一つ一つの練習など、何事も徹底して行うことによって身についた力は、試合の中の、様々な場面で必ず発揮されます。自信を持ち、粘り強く、最後まで、本校伝統の「徹底すること」を貫いてください。
試合中に、不安な気持ちになったり、プレッシャーを感じたりすることが、あるかもしれません。そのようなときは、浮ついた気持ちにならず、しっかりとグラウンドを踏みしめ、常に挑戦者の気持ちで試合に臨み、「徹底力」を忘れず、頑張ってください。いつも、皆さんを応援しています。
7月6日(火)に第1学期校内球技大会を実施しました。生徒たちは、体育館で開会式を行った後、本校のグラウンド・体育館・卓球場・武道場、保内体育館、神越公園グラウンドを会場として、ソフトボール、バレーボール、卓球、ボッチャの4種目に分かれ、熱戦を繰り広げました。体育館での閉会式では、成績発表の後、各種目の優勝チームが表彰されました。その開会式でのあいさつと閉会式での講評にて、次のような話をしました。
【開会式】
今日の校内球技大会を楽しみ、思い出に残る行事にしてください。そのためにも、三つのことを忘れないでください。
一つ目は、「自己管理をする」ということです。大会は四つの種目に分かれ、校外の体育館やグラウンドも利用されます。自分の出場する種目の場所や開始時刻などに気を付けてください。また、熱中症の予防を最優先しながら、3密を避け、試合中を除き、声を出しての応援や友達と話したりするときはマスクを着用し、手指消毒をしっかりと行うなど、新型コロナウイルス感染症の予防にも注意を払ってください。
二つ目は、「感謝する」ということです。大会の開催に当たって、さまざまな準備をしてくださり、今日の試合中にも用具の管理や審判等をしてくださる先生方や友達に対して、感謝の気持ちを持って試合に臨んでください。
三つめは、「助け合う」ということです。チームメイトと助け合いながら、スポーツを楽しんでください。 その結果として、試合の中で一緒に一喜一憂でき、素敵な思い出になるのです。勝利にこだわるあまりに、仲間を非難したりしてはなりません。この大会では皆さんに、助け合い励まし合うことのすばらしさも体験してほしいのです。
いま話をした、「自己管理をする」「感謝する」「助け合う」、この三つのことを思い出しながら、今日一日、けがなどに十分気を付けながら、有意義に過ごしてください。それぞれの種目で、皆さんが力を発揮されることを願っています。
【閉会式】
皆さん、球技大会を楽しめましたか。すべての競技場をまわりながら、ファインプレーを見るまではその場所にとどまる、と決めていましたが、ファインプレーの続出で、驚くやら感心するやらで、私も楽しみました。そして、一生懸命に試合をしている、みんなの姿を見ながら、とてもうれしくなりました。ありがとうございました。
開会式のあいさつで話した三つのこと、「自己管理をする」「感謝する」「助け合う」は、今後も、さまざまな行事や場面で思い返してください。そのことによって、ものごとがうまく進むだけでなく、きっと、皆さん自身の心が豊かになります。
私も、高校時代のソフトボールの試合で、忘れられないことがありました。最終回、自分のチームが攻撃の番で、ランナー二塁のサヨナラの場面です。私の前のバッターがヒットを打ち、二塁ランナーが三塁を回ったとき、出番を待っていた私はとっさに、「止まれ」と大声を出してしまいました。ランナーは急いで三塁に戻ります。実際にホームまで進んだとしても、アウトかセーフかはきわどいタイミングでしたが、次のバッターボックスに立ちたい、試合を続けたいという気持ちが、つい言葉となって出てしまったのです。
当然、チームメイト達は、勝利目前だったので驚き、「お前、絶対に打てよ。」とか、「打たなんでみぃ。」などと、私に向かって叫んでいました。でも、その表情は、あきれたり怒ったりしたものではなく、笑ったり楽しんだりしている風でした。私自身も、わくわくしながら打席に立ちました。その時のチームメイトの優しさと、みんなで楽しもうとする雰囲気を、何十年もたった今でも思い出し、ほっとすることがあります。
皆さんもぜひ、さまざまな行事を通して、友達と一緒に楽しさや喜びを共有する体験を重ねてください。最後になりますが、大会の準備や運営に協力してくれた生徒の皆さん、本当にありがとうございました。
7月2日(金)の6限目のHRの時間に、生徒全員が体育館に集まり、第2回の生徒総会並びに家庭クラブ総会が実施されました。いずれも、新たな会長と副会長の選挙です。それぞれの立候補者と応援者の演説が行われた後、ホームルーム教室にて投票が実施されました。演説と投票の前に、次のような話を生徒たちにしました。
本校には、生徒の皆さんが中心となって活動している会がいくつもあります。その中で、この、生徒会と家庭クラブも、役員のメンバーが、自主的かつ積極的に様々な活動を企画していて、とても感心しており、また、感謝しています。
今日の生徒総会と家庭クラブ総会は、そのような両方の会のいずれも、新たな会長と副会長を選ぶ大切なものです。これから立候補者や応援者の演説を聴き、その後に投票することとなりますが、生徒の皆さんにお願いしたいことが二つあります。
一つ目は、「自分たちの代表になろうとしている人の話を聴く」わけですから、当然、他人事としてではなく、自分に関係のあることとして、一生懸命に聴いてほしいということです。
二つ目は、「自分たちに代わって、活動してくれる人」ではなく、「自分たちと一緒に、活動してくれる人」を選ぶという意識で、投票してほしいということです。生徒会も家庭クラブも、主人公は皆さん一人ひとりです。主人公としての権利を持つ者、すなわち「主権者」の自覚を持って、演説を聴き、投票をしてください。
最後に、立候補者と応援者の皆さん、どうかリラックスして、自分の考えや気持ちを、みんなに伝えてください。よろしくお願いいたします。
6月30日(水)、第1学期の期末考査最終日、考査終了後に生徒と教職員が体育館に集まり、令和3年度体育祭結団式を実施しました。昨年度までは団編成が年次(学年)ごと(横割り)であったものを、今年度から、1・2・3年次混合(縦割り)の団編成に変更しました。それに伴い、同じ団に属する年次・クラスの組み合わせを決める抽選を行い、続いて、団(紅炎(こうえん)・猛虎(たけとら)・青龍(せいりゅう))を決める抽選を実施しました。最後に、各団の団長が力強く決意表明を行い、9月7日(火)の体育祭に向けて、学校全体が動き始めました。結団式のあいさつの中で、生徒のみんなに、次のように呼びかけました。
今年度の体育祭と川高祭のスローガンは、「破顔千笑(はがんせんしょう)~今しかないアオハルを~」に決まりました。とても素敵なスローガンです。「破顔一笑」という言葉が、もともとあります。それは「顔をほころばせてにっこりと笑うこと」を意味します。ですから私は、今回のスローガンを、アオハル(青春)の一ページとして、生徒や教職員、保護者など、多くの人の「破顔一笑」を集め、「千の笑い」とするような素晴らしい行事にしたい、というメッセージとして解釈しました。新型コロナウイルス感染症の予防を十分に行いつつ、熱中症予防にも、これまで以上に注意をはらいながら、これからの準備や練習に臨み、「一生忘れない素晴らしい体育祭」にしましょう。
そのためには、まず、皆さん一人ひとりが、自分の体調管理をしっかりと行い、併せて、周りの友達の体調にも気を配ってほしいと思います。すばらしい体育祭は、例外なく「すばらしい準備と練習」の結果です。そして、素晴らしい準備と練習は、メンバー同士が相手を思いやり、協力し合うことで実現します。例えば、説明をする人は、分かりやすく、しかも要領よく話すように努力し、説明を受ける人は、二度三度と同じ話をさせなくても済むように、一生懸命に集中して聞く。これも、思いやりと協力の表われです。
今年度から、団編成は、年次ごとではなく、1年次・2年次・3年次生の混合となります。3年次生は、最上級生として、見本となるリーダーとしての姿を見せてください。2年次生は3年次生を助け、1年次生を支えてください。1年次生は、3年次生や2年次生を見習い、協力してください。これらを、準備や練習をとおして実践できれば、当日は、必ず、一生忘れないすばらしい体育祭になります。みんなで実現させましょう。
6月8日(火)、県高校家庭クラブ連盟南予支部研究協議会が、川之石高校を拠点としてオンライン開催されました。今年度は、本校が南予支部幹事校となり、本校の家庭クラブ役員の生徒たちが、南予支部の役員も兼務します。役員の生徒の皆さん、よろしくお願いいたします。成人支部長である私からは、オンラインで結ばれた15校の会員の皆さんに、つぎのような内容の話をしました。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のためオンラインでの実施となりました。本校に来ていただき、直接お会いして、協議や情報交換ができないことは残念ですが、同じ画面を通じて意見を交わしたり、情報を共有したりして、密度の濃い有意義な会となりますことを願っています。
本連盟のロゴマークにある、「四葉のクローバー」は、学校家庭クラブ活動の四つの基本精神である、「創造」「勤労」「愛情」「奉仕」を表しています。いずれも、大切な精神ですが、「新しい生活様式」が模索されている今、四つの精神の中でも特に、創造の精神の発揮が求められているのかもしれません。生徒の皆さんが、常に新しいものを創り出し、飛躍しようとする意欲を持って活動されることを心から期待しています。