11月3日(水・祝日)、穏やかな晴天の中、令和3年度 川高祭を実施しました。どの発表や展示等からも生徒の一生懸命さが伝わってきて、楽しく、温かい気持ちになりました。
【開会のあいさつ】
皆さん、おはようございます。いよいよ川高祭の幕開けです。本日は保護者の皆様にもお越しいただき、誠にありがとうございます。9月の体育祭と本日の川高祭とをつなぐ共通のテーマは、「破顔千笑 ~今しかないアオハルを~」です。皆さんの表情が生き生きと輝き、青春の思い出となる一日にしてください。
校訓の一つである「審美」は、身の回りの美しいものや美しいことに気づき、美を求め親しむことをとおして、自らの心を明るく照らしてほしいと願うものです。様々な企画のすばらしさや美しさはもちろんのこと、アイデアを生み出した柔軟な発想力、難しいことにチャレンジした勇気、練習や準備に一生懸命に取り組んだ姿勢。友達の、それらの「美しさ」にも気持ちを向けてください。
そして、もう一つお願いがあります。新型コロナウイルスの感染状況は改善しましたが、まだまだ油断はできません。3年次生は進路決定の重要な時期であり、1・2年次生は部活動の大事な大会を控えている人が多くいます。皆さんにはマスクの着用や手指消毒など、感染回避行動をしつつ楽しんでいただきたいと思います。どうか、よろしくお願いいたします。
【閉会のあいさつ】
皆さん、川高祭を楽しまれましたか。どの企画もアイデア豊かな工夫がなされ、一生懸命に練習や準備がなされたことの分かる、すばらしいものでした。それぞれの企画をされた皆さんに、感謝の気持ちを一杯込めた拍手をおくります。
開会のあいさつの中で、今日は、いろいろな「美しさ」に気持ちを向けてほしい、と話しました。演奏やパフォーマンス、展示作品そのものの美しさ。模擬店や体験にて、来店者や参加者に喜び楽しんでもらおうと努力する、その気持ちの美しさ。友達が頑張っている様子を見て、自分もうれしそうにしている人の、心の美しさ。この川高祭で、たくさんの美しさを感じ取ることができました。
美しさ(美)に接すると、気持ちがほっとし、温かくなり、前向きになります。今年の川高祭は終わりますが、どうか、校訓の「審美」をこれからも大事にしてください。
川高祭のために準備や運営をしてくださった皆さんに心からお礼を申し上げて、閉会のあいさつといたします。本当にありがとうございました。
10月19日(月)、福祉サービス系列の1年次生の、福祉科目の授業が始まりました。授業の冒頭で、生徒たちに次のような話をしました。
福祉サービス系列を選ばれた皆さんは、他の一年次生よりも早く、専門的な内容の授業を受けます。福祉に関心があるのはもちろんでしょうし、将来、介護従事者として働きたいと考える人もいるでしょう。
そのような皆さんには、特に、「相手を思いやる気持ち」を大事にし続けてほしいと願っています。そして、相手を思いやる気持ちを、いろいろな「かたち」にして相手に届けてください。例えば、相手を見るときの表情や話を聞くときの態度、言葉をかけるときの話し方などの中に、相手を思いやる気持ちがこもっていると、柔らかい表情や相手の気持ちまでも感じ取ろうとする態度、相手の気持ちに寄り添う話し方などになって表れます。
福祉とは「すべての人の幸せ」を意味します。ですから、福祉の授業では、一人ひとりが幸せに暮らしていけるようお互いを大切にし、一緒に支えあって生きていくために必要な知識や技術を学びます。皆さんが、わくわくする気持ちで授業や施設での実習に取り組まれ、自分自身をはじめ多くの人を幸せにできるいろいろな力を、少しずつ身に付けられることを大いに期待しています。
9月15日(水)、明日16日から始まる、企業の採用選考を受ける生徒たちに、次のような激励の言葉をかけました。
明日から就職の採用選考が始まります。皆さんの中には、緊張したり不安な気持ちになったりしている人もいるでしょう。でも、心配する必要はありません。だれもがそのような気持ちになるものですし、むしろ適度な緊張感は試験のときには必要なものです。これまでの学校生活をとおして培ってきた力と試験に備えた努力、それぞれに自信を持って採用選考会場に向かってください。
一つだけ、面接を受けるに当たっての大切な心構えを話します。心の片隅におき、面接を待っている間にぜひ思い出してください。それは、「感謝の気持ち」と「自分のことを分かってほしいという気持ち」、その両方を忘れずに面接を受けるということです。
企業や団体の方々は皆さん自身の将来にかかわることのために時間や労力をかけてくださっている、と考えればとてもありがたいことです。感謝しながら、あいさつや礼を行い、相手を見て、質問を聞いて、質問に答えましょう。
また、面接の時間は案外と短いものです。ですから、「自分のことを分かってほしい」という気持ちを持って、面接官の前に座ってく ださい。「わかってほしい」と強く思えば、相手の質問をよく聴こうとするし、相手が聞き取りやすい声で、分かりやすく 話そうとします。
この、「面接に当たっての二つの心構え」を胸に採用選考に臨むことで、きっと、皆さんの一生懸命な姿と気持ちがより相手に伝わります。
川高から、いつも皆さんを応援しています。
9月10日(金)に、生徒会と家庭クラブ、それぞれの役員任命式を校内放送にて行いました。新・旧の役員の皆さんと全校生徒に向けて次のような話をしました。
ただ今、新たな生徒会役員、家庭クラブ役員の皆さんの紹介と、それぞれの旧・新の会長からあいさつがありました。本校のさまざまな行事や活動において、とても大きな力を発揮してくれている生徒会や家庭クラブの役員に新しくなられた皆さんの、強い気持ちと熱意に敬意を表し、これからの活躍に期待しています。どうかよろしくお願いいたします。
また、これまで生徒会活動や家庭クラブ活動を一生懸命に支えてくれた旧の役員の皆さん、大変お世話になりました。皆さんのおかげで、川高の教育活動が生き生きと明るく楽しいものとなりました。心から感謝いたします。ありがとうございました。
生徒の皆さん、生徒会役員や家庭クラブ役員は、皆さんの代表として生徒全員のために、さまざまな活動の企画や準備に取り組んでいます。その気持ちを受け止めながら、生徒会活動や家庭クラブ活動に積極的に参加し、皆で一緒に、この川高をますます素敵な学校にしましょう。
9月7日(火)、穏やかな曇り空のもと、令和3年度体育祭を実施しました。どの競技や演技にも生徒たちの工夫や努力がみられ、その一生懸命な姿に感動しました。
【開会式あいさつ】
令和3年度体育祭の始まりです。結団式で、「一生忘れないすばらしい体育祭を、みんなで実現しよう。」と呼びかけました。これまでの皆さんの「すばらしい準備と練習」で用意は整いました。今日も、自分の体調管理を行うとともに、相手を思いやり協力し合いながら、一生懸命に競技や演技に取り組んでください。
そして、皆さん一人ひとりの力が、団の枠を超え、学校全体の力となり、まるで大きな波のような「うねり」となることを楽しみにしています。各団の色から思い浮かぶのは、紅炎の赤からは、光を降り注ぐお天道様、「天」です。猛虎の黄からは、ゆるぎない大地、「地」です。青龍の青からは、天と地の間を満たす空気、「気」です。
各団の色からイメージされる、天と地と気のように、全員の熱意によって、力強く鮮やかな体育祭にしましょう。期待しています。
【閉会式あいさつ】
どの団の競技、演技ともにすばらしいものでした。心から拍手をおくります。3年次生は、リーダーとして全員をまとめてくれました。2年次生は、上級生を助け下級生を支えてくれました。1年次生は、上級生を見習いよく協力してくれました。皆さんを称え、感謝します。
コロナ禍の中、生徒と教職員、全員の工夫と努力によって、「破顔千笑 ~ 今しかないアオハルを ~ 」のスローガンどおりの体育祭を成し遂げました。準備期間を含め、これまでの活動で学んだことや経験したことを、これからの学校生活はもちろんのこと、今後の人生に生かしてください。
今年度はコロナ対策で無観客実施となり、保護者の皆様にご覧いただくことができませんでした。とても残念ですし、申し訳なく思っています。生徒の皆さんから、今日の体育祭のすばらしい様子をお話ししてください。感謝とお願いをして、あいさつとします。
8月27日(金)、第2学期の始まりに当たり、生徒に次のような話をしました。
皆さん、おはようございます。一学期の終業式で、「しなければならないことや、しようと思ったことが十分にできなかった人は、それらができるようになるまで、夏休みを利用して何度も何度も挑戦し、努力を続けて欲しい。」と話しました。挑戦し、努力をした人は、どうか2学期もそのまま続けてください。なかなかできなかった、と思う人は、ぜひ2学期から始めてください。
その2学期は、体育祭や川高祭などの学校行事、3年次生にとっては就職や進学の試験、1年次生や2年次生にとっては部活動の新人大会や高文祭など、多くの大切な行事や試験、大会等があります。それらに対して、十分に楽しんだり、力を発揮したりできるためには、健康を維持し、体調を整えることが最も大事です。とても感染力の強い新型コロナウイルスに対しては残念ながら特効薬がなく、予防策は、次の六つのことを徹底して行うしかありません。
〇マスクを常に正しく(「鼻出しマスク」や「あごマスク」などをせず)着用すること
〇3密環境(「狭く閉じられた空間」や「多くの人が集中して集まる」ことや「人と人との距離がとても狭い」こと)を避けること
〇手洗いや手指消毒を積極的に行うこと
〇感染の危険が高い食事の時には、「黙食(話をせずに黙って食べる)」を徹底すること
〇部活動の時には、特にこれまで挙げた感染回避行動を徹底すること
〇校外でも、買い物、塾や習い事、会食の際には、同様の感染回避行動を行うことです
これら六つの感染予防策を、学校全体で徹底して行い、生徒の皆さんや教職員の健康を守り、川高の教育活動を守っていきましょう。
川高の三つの校訓のうち、「誠実」については、1学期に何度か紹介しました。2学期の初めに当たり、校訓の一つ「自学」について話をします。自分から学び、判断し、行動する力を身に付ける、という大切な実践を示しています。そして、どのような大人になりたいかを考えながら、自分で自分の人生を切り拓こうとするたくましさを持つ人になってほしい、という願いが込められています。生徒の皆さんが、「自学」という校訓に示された「大切な実践」と、込められた「願い」を忘れず、1学期以上に充実した2学期とされることを願って式辞とします。
夏休み前に、本校の進路課が作成した令和3年度「進路の手引き」を生徒たちに配布しました。巻頭言として、「Imagine(想像して)」と題したメッセージを書きました。
生徒の皆さん、どのような夏休みを過ごしていますか。どうか、新型コロナウイルス感染症や熱中症に十分注意して、健康で有意義な夏休みにしてください。
3年次生の皆さんは、少しずつ近づいてきた就職や進学の準備をしたり対策を行ったりしているでしょう。2年次生の中には、自分の適性や能力に合う進路選択に悩んでいる人がいるかもしれません。1年次生は、授業やホームルーム活動などをとおして自分の進路を考え始めているのではないでしょうか。進学を希望している人も含め、やがては多くの人が仕事を通じて社会と深く関わることとなります。そのため、進路について考えるときには、仕事や職業に焦点を当てると筋道がわかりやすくなることがあります。
そこで、皆さんに取り組んでほしいことがあります。それは、「楽しくやりがいのある仕事をしている自分の姿を想像してみる」ということです。そして、「自分はどのような仕事に楽しさや、やりがいを感じるか」ということを考えてもらいたいのです。仕事の目的の一つはお金を手に入れることなので、お金を多く稼ぐことができる仕事を挙げる人もいるでしょう。一方で、お金はもちろん大事だが、それよりも、自分の興味や関心のあることに取り組めたり、自分の能力や適性を発揮できたりすることを優先し、それらができる仕事を答える人もいるでしょう。いずれにせよ、「自分の姿」を想像しつつ、「楽しさや、やりがい」について考えることで、進路の夢は実現に向けて動き出す、と思っています。では、夢を実現するためには何をすればよいか。皆さんに三つのことを勧めます。
まずは、「自分を知る」ということです。どの仕事も誰かのためになり、社会になくてはならないものです。そのような仕事本来の意義に加え、楽しさや、やりがいを感じられれば、働く意欲がより高まり、そのような仕事ができる職業は天職と呼べるかもしれません。ただ、楽しさや、やりがいを強く意識できるためには、自分の得意なことや不得意なこと、長所や短所などを知っておくことが重要となります。授業や学校行事、部活動などに積極的に取り組むことで、自分の様々な面に気付き、しかも、それらすべてを、自分の大切な一面として受け入れてほしいと思います。
その上で、自分の「強み」、すなわち、得意なことや長所であるだけにとどまらず、他の人に対してもよい影響を及ぼしたり利益をもたらしたりするような、自分の「よさ」を生かすことを考えてほしいのです。皆さんにはどのような強み(よさ)がありますか。性格の強みで言えば、クラスの雰囲気がよくなるように盛り上げたり、何事にも積極的に取り組んだりする人には、ユーモアや好奇心、勇敢さやリーダーシップ等の強みがあるでしょう。目立たない役割でも丁寧に取り組み続けることができたり、人の気持ちになっていろいろな立場の人の意見を尊重できたりする人は、忍耐力や誠実さ、柔軟性や親切心等の強みを持っているでしょう。それらの強みを把握した上で、「その強みを生かしきれば、どんなことができるか。それを生かせる仕事や職業にはどのようなものがあるか。それらの仕事や職業に就くためには、どのようにすればよいか」、と考え、調べてみてください。自分の弱いところばかりに目を向けるのではなく、強みに注目することで、新たな進路が見えてくることがあります。ただし、自分では弱みだと思っていたことが、見方を変えれば強みの場合もあり、自分の弱いところも大切にしてもらいたいのです。
そして、進路目標を達成するために、バックキャスティングという考え方を活用してみましょう。「今」を出発点として、その時々の状況の中で実現可能と考えられることを積み上げながら、未来の目標を目指す考え方をフォアキャスティングといいます。一方、バックキャスティングは、「未来」のある時点に目標を設定しておき、そこから振り返って現在すべきことを考える方法です。例えば、就職や進学の試験に備え、受験に必要な学習内容等を把握し、計画を立てて勉強している人は、この発想法をすでに使っています。そのやり方をこれからも続け、目標を達成し、やがては夢を実現してください。
進路について迷ったり、疑問に思ったりしたときには、『進路の手引き』がとても参考になります。そして、先輩方が書かれた「合格体験記」を読んでいると、同じように悩み、苦労をしながらも、工夫や努力を続けられた先輩方の声に励まされ、前向きな気持ちになります。たぶん先輩方も、将来の自分を一生懸命に思い描きながら頑張られたのでしょう。「想像する」という行為の中には、夢を現実に変える力があります。
8月2日(月)に、本校で令和3年度 中学生一日体験入学を実施しました。南予を中心として各地域の中学校から、多くの生徒や保護者、教員の方々にご参加いただきました。その皆様を前に、次のような話をいたしました。
本日は、川之石高校(「川高」)の一日体験入学にご参加いただき、誠にありがとうございます。心からお礼を申し上げますとともに、皆様を大歓迎いたします。
本校の正門を入られた際に、校舎の前に美しくそびえたつ「ヒマラヤスギ」をご覧になられたでしょうか。お配りしている「一日体験入学 しおり」の表紙やカラー印刷の「学校案内パンフレット」の裏表紙にも、その姿を載せています。創立から107年目を迎える、伝統ある本校の歴史とともに、生徒たちを見守ってくれている、本校のシンボル・ツリーです。空に向かって梢を高く伸ばすためには、それを支えるための根を地中深く広げなければなりません。本校では、このヒマラヤスギのように、生徒たちが自分の輝く未来のために、高い志を持って進路を選び、日々の授業や部活動、学校行事などに一生懸命に取り組みながら、自らの人間力を磨き広げています。そして、私たち教職員も、そのような生徒たちの学びと成長を精一杯支えています。
この川高の特長を表すキャッチフレーズは、学校案内パンフレットの表紙にある、「新しい私、どんどん見つかる」です。本校は、県内に3校ある総合学科の高校の一つとして、生徒一人一人が自分の興味・関心や能力、適性とじっくりと向き合い、希望の進路を見付け、意欲的に学習できる環境を整えています。学校案内パンフレットには、本校が県立高校では唯一の福祉系高校であることや、農業科目を多数用意して、農産物の生産・販売だけでなく加工品の生産・販売も行う中で最先端の取組を実施していることなど、入学後に、六つのコースに分かれて専門的な学習ができることを詳しく書いています。ぜひ、後でお読みください。
本日は、生徒会の生徒たちによる学校紹介の後、授業を体験していただいたり、部活動を見学していただいたりします。新型コロナウイルス感染症や熱中症の対策に努めておりますが、皆様におかれましても、十分にお気をつけいただき、少しでも体調に不安を感じられましたら、無理をなされず、遠慮なく近くにいる本校教職員にお声がけください。
この一日体験入学が、皆様に川高を知っていただく機会となり、進路選択の参考となりましたら幸いです。終わりに、生徒の皆さん、この夏休み以降、ご自分の進路実現を目指して、どうか充実した毎日を送ってください。
本校PTAだより 第46号「ひまらや杉」に、「『バトン』をつなぐ」と題した文章を書かせていただきました。
6月に開催された愛媛県高等学校総合体育大会に、本校から95名もの生徒が出場しました。壮行会の校長あいさつの中で、去年の県高校総体が中止となったことに触れ、昨年出場がかなわなかった先輩方の思いを感じ取ったときの自分の気持ちと、今年の県高校総体で試合ができる喜び、その両方を思い出して、弱気になりそうな自分を奮い立たせてほしいとエールを送りました。
今年の県高校総体のスローガンは、「繋(つなぐ)~あの日渡せなかったバトンを、今~」でした。力の限りを尽くして戦う生徒たちを応援しながら、どのような「バトン」を先輩から渡され、後輩につなぐのだろう、と想像しました。県高校総体に続いて四国高校総体でも上位入賞を果たし、全国高校総体(インターハイ)への出場権を勝ち取った陸上部の3年次生に、「あなたにとっての『バトン』とは何ですか」と質問すると、「一生懸命に努力し、それを続けることです」と答えが返ってきました。教える子に教えられることほど教師冥利(みょうり)に尽きることはありません。生徒の話を聞きながら、胸が一杯になりました。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、私たちの生活は大きく変わり、「新しい生活様式」が社会全体で模索されています。そのような中、教育に携わる者として「バトン」のようにつなぎ続けるべき姿勢について考えることがあります。そのときによく思い浮かべるのは、宮沢賢治の作品『なめとこ山の熊』の中の、淡い月光に照らされながら母熊が子熊の思い込みや間違いを一つ一つ丁寧に説明しながら正していく場面です。生き物は食べたり食べられたり、すなわち命を奪い奪われたりする中を生きるしかありません。子熊の甘えに調子を合わせたり、機嫌をとったりしない母熊の凛(りん)とした姿からは、そのような世界に生きざるを得ない子熊に、正しく強い生き方を教えておきたいという深い愛情が、切ないほどに伝わってきます。そして、教育もまた、そのような深い愛情と未来を見通した考え方を持って生徒一人一人に向き合うことから始まるのだ、と自分を戒めます。
4月の入学式の式辞の中で、「いつもとかわらず春が巡ってきたように、コロナ禍の中で社会の動きが滞っている間にも、子供たちは成長を続けます」と話しました。教育の「バトン」をつなぎ、教職員一同で力を合わせ、子供たちの学びと成長を支えて参ります。