校長室より
川之石高校PTAだより第55号「ひまらや杉」で、次のような話を述べさせていただきました。
私が川之石高校に赴任して2年目となりました。赴任して以降、いろいろな場面で、生徒の皆さんにお話をしたり文章を書いたりしてきましたが、かつては私も生徒として、先生方のお話を聞く立場でした。そのお話の中で、印象に残っている言葉に、「己の分を知れ」というものがあります。
この「己の分を知れ」という言葉は、中学3年生の時の担任の先生が、卒業を前にした私たちにされた話の中で出てきた言葉です。「分」とは、人としての器、能力の程度というような意味でしょう。中学を卒業し、これから高校生になろうという生徒たちへの言葉の多くが、「君たちには無限の可能性がある」「君たちの前には輝かしい未来が待っている」というようなものである中で、「自分の能力はこの程度のものであるということを自覚しなさい」というこの言葉は、強く印象に残りました。と同時に、当時は、なぜ「身の程を知れ、高望みをするな」というようにも聞こえる、このような消極的なことを言うのかな、と疑問に思ったものです。
しかし、その後、高校生、大学生、となり、その担任の先生と同じ教員という職業に就いてから、この言葉は決して消極的なものではなかったのだということが分かってきました。「分」、すなわち自分の能力の限界を知るためには、まず限界まで努力しなくてはなりません。ぎりぎりまで努力した人だけが、自分の限界、「分」を知ることができるのです。そして「分」を知り自分の限界を自覚してこそ、それを最大限に活かすためにはどうすればよいのか、考え、工夫することができるようになるのではないでしょうか。
自分の「分」を知ることは、積極的で前向きな生き方につながります。逆に言うと、今、努力をしないまま、「やればできるはず」「いつかできるはず」と思うだけでは、自分の「分」、自分の能力の限界を知ることはできませんし、自分の能力を最大限に活かすこともできないのです。
私は、川之石高校の生徒たちに、高校生のうちに、是非、自分の「分」を知ってほしいと思いますし、そのために、勉強でも部活動でも、精一杯の努力をしてほしいと思います。自分の限界を知るということは、ある意味、厳しいことかもしれませんが、それがあってこそ、ではどうするか、という次の段階に踏み出せるのだと思います。そして、そのような生徒のチャレンジを、川之石高校教職員全員で、支えていきたいと考えています。
最後になりましたが、本校は、今年、創立110周年を迎えます。記念式典や記念講演、記念文化祭等を計画しておりますので、保護者や地域の皆様には、是非、ご参加いただきたいと思います。今年度も、引き続き、本校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。
校長室より
第1学期終業式の式辞として、次のようなお話をさせていただきました。
改めまして、おはようございます。
私は、7月最初の日曜日に、本校の関西支部同窓会に参加してきました。同窓会は、地元以外に、関東、関西、松山に支部があり、毎年、各地区の同窓会には多くの人が集まるなど、母校である本校に深い愛情を持っていただいています。
先日の、球技大会で、皆さんや、私たち教職員が着用した110周年記念Tシャツも、このような、本校を愛していただいている方々の、御厚意により、無料で配布することができました。
今回、記念Tシャツの費用を負担していただいたのは、今から10年前の、創立100周年の際に、本校の教育活動の振興を図ることを目的として、同窓会・OBの方々、地域の方々、保護者の方々、教職員からの寄付金をもとに設立された、「川之石高等学校 教育振興会」という団体です。心から感謝したいと思います。
これから、9月には記念体育祭があり、11月には記念式典や記念講演、記念川高祭が実施され、同窓生や地域の方々に、本校を訪れていただく機会も増えてくるのではないかと思います。今回、記念講演をしていただくのも、本校OBで、同窓会の関西支部長をしてくださっている城岡陽志(しろおか きよし)さんで、太陽パーツという大きな会社を一代で築き上げた方です。本校も、ご支援いただいており、事務室前の体温測定器も、城岡さんにご寄付いただいたものです。城岡さんは、昨年、同じく本校OBで、関西支部同窓会の顧問でいらっしゃる、俳人で、京都教育大学名誉教授の、坪内稔典(つぼうち としのり)さんと一緒に、伊方中で講演をされていますので、伊方中出身の皆さんは、覚えていることと思います。
伊方中と九町小の校歌も作詞されている坪内さんは、今回、式典等にいらっしゃる予定は、ありませんが、これまで、100周年などの周年行事で、ご講演をいただいています。『三月の甘納豆のうふふふふ』という句は、小学校の教科書にも掲載されたそうですし、本校図書館にも作品集が多数ありますので、ぜひ読んでみてください。
今回は、お二人のお話をしましたが、お二人だけでなく、本校OBには、いろいろな分野で活躍されている方が、多くいらっしゃいます。今回の記念行事や、卒業後に同窓会等でお会いする機会があれば、ぜひ、話しかけてみてください。きっと、ためになるお話が聞けると思いますし、相手の方にも喜んでいただけると思います。
ちなみに、私は、先日、同窓会の方たちと話をして、石原裕次郎さん、慎太郎さんなど石原家の菩提寺が、ここ川之石にあると初めて知りました。夏休みの間に、一度、訪れたいなと思っています。
皆さんも、これから夏休みに入りますが、いろいろなことに関心を持って、やりたいことを定め、積極的にチャレンジしてみましょう。今日のお話をして、昨年の1学期末の式辞で、ある分野で一流になるために必要な時間、「1万時間の法則」の話をしたことを思い出しました。この夏休みが、皆さんにとって成長の機会となることを期待して、式辞とします。
校長室より
全国高校総体に出場する陸上部と、全日本吹奏楽コンクール県大会に出場する吹奏楽部への壮行会で、次のような話をさせていただきました。
全校生徒の皆さん、おはようございます。
まずは、全国総体に出場する、陸上部の皆さん、おめでとうございます。インターハイという、スポーツに励む高校生であれば、誰もが憧れる、夢の舞台への出場を、勝ち取られたことを、教員、生徒一同、大いに、誇りに感じています。新たな挑戦と成長の場で、更なる高みを目指して、戦ってきてください。
そして、全日本 吹奏楽 コンクールの県大会に、 出場する、吹奏楽部の皆さん。日頃は、他の部活動のため、また、様々な行事のために、その演奏を披露していただいていること、本当に感謝しています。県大会では、自分たち自身のために、最高の演奏をしてきてください。その先には、四国大会という、大きなステージが待っています。
陸上部と、吹奏楽部の皆さんの活躍を、心から 願って挨拶とします。
校長室より
農業クラブ員による意見発表とプロジェクト発表が行われ、次のような挨拶をさせていただきました。
皆さん、こんにちは。
私は、日頃の皆さんの、花や果樹・野菜、畜産、加工品など、様々な分野での各種大会やコンクールにおける活躍を、ほとんどは、先生方からの報告書、そして、新聞やテレビでの報道があったときには、その記事や映像で見させていただいていますが、なかなか皆さんの活躍を、実際に、この目で見る機会がありません。
そのような中で、本日は、皆さんの、日頃の取組の成果を、実際に見聞きすることができるということで、大変、楽しみにしています。
昨年もお話ししたのですが、私は、庭に植えている木を自分で剪定する度に、植物の成長の勢いには驚かされ、植物の再生可能性、農業の持続可能性を、実感しています。
と同時に、そのような力を持った植物も、虫や寒さにやられたりすると、一気に弱ってしまうことも経験しています。
農業は、人類の、持続可能な社会に欠かせない産業ですが、その実現に向け、解決し乗り越えていかなければならない課題、それは例えば、気候変動、市場の嗜好の変化、グローバル化への対応などが挙げられると思いますが、数多く残されています。
みなさんの発表が、これらの課題の解決に、少しでも役立ち、持続可能な農業や地域の実現につながることを期待しています。自信を持って堂々と発表してください。
最後になりましたが、この発表大会に向けて、準備をしてくれた生徒の皆さんや先生方に感謝の意を表して、挨拶とさせていただきます。
校長室より
四国総体の壮行会で、次のようなお話をさせていただきました。
四国総体に出場する選手の皆さん、そして全校生徒の皆さん、おはようございます。先日の土曜から月曜にかけて、県総体が開催され、本校からも多くの選手の皆さんが試合に参加しました。私も、応援に行き、全ての競技は、見ることができませんでしたが、仲間と共に、全力で戦う姿に心を打たれました。そして、勝負というものは、本当に厳しいものだな、と改めて実感させられました。
たった一つのプレイ、ほんの一瞬の判断で、勝負の流れは大きく変わります。今回、敗れた選手の皆さんは、この経験を、今後の部活動や学校生活、社会生活に生かしてほしいと思います。
そして、そのような厳しい戦いの中で、素晴らしい成績を収め、四国総体への出場を勝ち取った、陸上部、卓球部、社会体育部少林寺拳法の皆さん、本当におめでとうございます。
しかし、これはゴールではありません。四国総体は、新たな挑戦と成長の場です。更なる高みを目指して、自分の、そして自分たちの力を信じ、自信を持って、戦い抜いてください。皆さんが、最高のパフォーマンスを発揮し、活躍してくれることを、生徒、教職員一同、心から願っています。健闘を祈ります。
校長室より
県総体の壮行会で、次のようなお話をさせていただきました。
皆さん、おはようございます。県総体に出場する、選手の皆さんに向けての、激励の言葉の前に、まず、皆さん全体に、紹介しておきたいお話があります。
先日、本校で同窓会の役員会があり、地元の役員の方たちに加え、関東支部の会長さん、松山支部の会長さんも、遠くから参加してくださいました。卒業してから60年近く、母校を訪れるのも久しぶりだ、という会長さんたちと、話をする中で、「川高生の皆さんが、見ず知らずの自分たちに、「こんにちは」と大きな声で挨拶してくれるのに驚いた。本当にうれしかった。」との言葉をいただき、私自身もうれしく、また誇らしく思いました。
皆さん一人一人が、当たり前のように行ってくれている挨拶ですが、皆さんが思っている以上に、周りに明るさと、元気を与えてくれているのだなと、改めて実感した出来事でした。
話を部活動関係に戻しますが、私も、毎日、廊下などですれ違う時にしてもらう挨拶からはもちろん、朝の出勤時に、朝練をしている人がしてくれる挨拶や、夕方、帰る車に向かって、グランドや体育館、武道場や卓球場から会釈をしてくれる皆さんの姿から、私も頑張ろう、という前向きな気持ちを、もらっています。
そして、このように、部活動を行う皆さんの、明るい挨拶や、部活動に熱心に取り組む姿から、毎日の元気や勇気をもらっているのは、私だけでなく、本校の、他の先生や生徒、地域の方々も一緒だと思います。
本日は、県総体の壮行会ですが、県総体に出場できなかった部活動や、レギュラーとしてこの場に立てなかった皆さんも、これまでに自分達が行ってきた部活中の挨拶や、一生懸命部活に取り組んできた姿が、周りに大きな力を与えてきたのだ、ということを知ってほしいですし、自信を持ってほしいと思います。
そして、県総体に出場する皆さんは、県大会という大きな舞台で戦う機会を得られたこと、また、多くの人たちが、皆さんを支えてきてくれたことに感謝しながら、一人一人が、持てる力を出し切れるよう頑張ってきてください。
皆さんを、教職員、在校生、そして地域の方々全員が応援しています。健闘を祈っています。
校長室より
農業クラブ総会で、成人代表あいさつとして、次のような話をさせていただきました。
皆さん、こんにちは。
私は、ここ川之石高校の校長になるまで、農業科のある高校に勤めたことがなかったので、川之石高校に来てから、野菜やその苗、花やマーマレードなどを購入して、自宅で楽しませていただいています。
また、自宅だけでなく、親や親戚、友人などにも、これら川之石高校の農産物を配っているのですが、それをおいしい、とか、きれいとか褒められ喜ばれると、とても誇らしい気持ちになります。
人をこのような気持ちにさせることができる農業は、素晴らしい産業だなと改めて実感していますし、それを学んでいる皆さんは、とてもいい選択をしているなと感じています。
そして、みなさんのように、農業を学ぶ生徒による、「自主的・自発的」な組織として、今から70年以上前に誕生したのが、この農業クラブです。皆さんと同じ若い世代の高校生が、未来の農業の発展のため、興味を持って農業を学び、未来の農業を担う人材となることを目指して、全国で活動しています。
本日は、この後、今年の事業計画などが話し合われると聞いていますが、皆さんも、是非、「自主的・自発的」に、自分自身でやれることを見つけ、積極的に取り組んでいただきたいとお願いし、挨拶とします。
校長室より
4月9日に、73名の新入生を迎え、全校生徒237名による新たな学校生活がスタートしました。
入学式では、新入生と保護者の皆様に、式辞として次のような話をさせていただきました。
暖かい春の季節を迎え、新緑の若葉がすくすくと伸びる今日のよき日に、多くの御来賓の皆様、保護者の皆様の御臨席を賜り、令和6年度 愛媛県立川之石高等学校第77回入学式を挙行できますことは、本校教職員一同の大きな喜びでございます。厚くお礼を申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました73名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんを心から歓迎いたします。保護者の皆様におかれましては、お喜びもひとしおのこととお祝い申し上げます。
本校は、大正3年に実践農業学校として開校して以来、「体験」から学び「人格」を養成する、という校風を受け継ぎ、今年度、創立110周年を迎える、歴史と伝統のある学校です。卒業生は、1万7千名以上に上り、多くの先輩方が、経済界や文化・芸術界などにおいて、地元はもとより、日本全国で、大いに活躍されています。
新入生の皆さんは、本校の伝統を誇りとし、先輩方を目標として、これからの3年間、自分の力を精一杯伸ばし、その力を十分に発揮しながら、充実した高校生活を送ってほしいと願っています。
その高校生活の始まりに当たり、本校の校歌についてお話をします。1番から3番までの校歌は、いずれも、母校、川之石高校を称える、「ああ わがまなびや」という言葉で締めくくられます。そして、その言葉の前には、本校の3つの在るべき姿、すなわち、1番は「ふかき真をきわむるところ」、2番は「清き心をはぐくむところ」、3番は「若き力ののびゆくところ」、が、掲げられています。
本校は、校歌の1番で、本当に大切なことを一生懸命に追究することができる学校であること、2番で、素直で誠実な心を大事にする学校であること、3番で、一人一人が力を高め発揮することができる学校であること、を、宣言しているのです。
新入生の皆さんには、これから、校歌を歌ったり、体育館に掲げられた歌詞を見たりするたびに、この歌詞の意味を思い返してほしいと思います。
日々の生活の中で、周囲に流され、惰性で過ごしてしまいそうになった時には、「自分にとって、大切なものを見失っていないか」「誠実な心で、人と接しているか」「自分の力を、伸ばす努力をしているか」、と、自分自身に問いかけてみてください。
私は、皆さんが、高校生活の中で、自分自身と自分の夢を大切にし、また、それと同じように、相手と相手の夢を尊重する心を育て、互いに励ましあいながら、それぞれが、なりたい自分となり、その夢を実現することを目指して、大きく成長されることを、心から期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様に申し上げます。お子様は、これから一歩一歩、自立への道を歩むことになります。心の優しい、生きる力を持った若者に育つことは、御家庭と学校の、共通の願いです。私たち教職員一同は、本日からお子様をお預かりし、御家庭と協力しながら、精一杯、その歩みを支えてまいります。
ここに、あらためて、本校の教育活動に対する御理解と御支援を賜りますよう、お願いを申し上げ、式辞といたします。
校長室より
川之石高校も2年目となりました。校長の矢野重禎と申します。今年度もよろしくお願いいたします。
令和6年度、第1学期終業式の式辞として、次のような話をさせていただきました。
改めまして、皆さん、おはようございます。今日は、令和6年度、第1学期の始業式です。
先日の、終業式から、まだ二十日、離任式からでは、まだ十日ほどしか経っていませんが、あの時に2年次生であった皆さんは、学校のリーダーとして下級生を導く3年次生に、1年次生であった皆さんは、学校の中核として活躍する2年次生になりました。そして、明日には、新しい1年次生が入学してきます。
季節は巡り、毎年同じことの繰り返しに見えるけれど、その間に、人も自然も、少しずつ、しかし、着実に成長しているのだ、という話を何かで読みましたが、皆さんの様子を見ると、本当にそう思います。
さて、そのように、成長の可能性あふれる皆さんに、先日の終業式では、花の呼び名を例にして、「言葉には力がある。言葉を大切に使ってほしい。」というお話をしました。
明日、入学してくる1年次生の中には、新しい環境で、不安を感じている人も、いると思います。分からないことがあったり、困っていたりする様子を見かけたら、皆さんの側から、言葉をかけてあげてください。その言葉により、力づけられる1年次生が、必ずいます。
どのような言葉をかければよいか、迷うかもしれませんが、そのような時には、自分が相手の立場だったら、どのような言葉をかけてほしいか、考えてみましょう。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、相手を大切にできる人は、自分自身を大切にできる人だと思います。自分自身を大切にするからこそ、相手から大切にされるとは、どのようなことなのか、どのようなときに大切にされたと感じるのかを、理解できるのではないでしょうか。
今年度、3年次生の皆さんは、進路決定の年次として、2年次生の皆さんは、その準備の年次として、大切な年を迎えます。皆さん、自分自身の気持ちや、将来の夢を大切にしてください。そして、自分自身の気持ちや夢と同じように、相手の気持ちや夢を、大切にできる人になってください。
皆さんが、お互いの夢の実現に向け、互いに励ましあい、応援しあえるような仲間として、成長していくことを期待して、第1学期始業式の式辞とします。
校長室より
第3学期終業式の式辞として、次のような話をさせていただきました。
改めまして、皆さん、おはようございます。今日は、3学期の終業式です。
「式」と言えば、先日の卒業式は、皆さんが、3年次生のために、心を一つに取り組んでくれたおかげで、大変、立派な式となりました。ありがとうございました。
さて、今日は、その卒業式の日に、なるほど、と思ったことから、お話しようと思います。
卒業式の日、式場に、きれいな花が、いっぱい飾られていたことには、皆さん、気づいたと思います。本校で大切に育てられた花で、式の後には、事務室前で販売され、多くの方に、喜んで買って帰っていただきました。
私自身も、計6鉢、購入させてもらったのですが、その花の横には、その名前として、「シネラリア」かっこ「サイネリア」、と、2つの名前が掲示がしてありました。
なぜなのかなと、調べてみると、以前は、「シネラリア」と呼ばれていたものが、「死ね」という言葉を連想させるということで、最近は、「サイネリア」と呼ばれるようになったとのことで、なるほどな、と思ったのです。
このような言いかえは、他にも聞いたことがあります。川などの水辺に生えている背の高い草の「あし」は、「悪しき」という言葉を連想させるので「よし」に、イカをほした「するめ」は、お金を、ギャンブルなどで「する」という言葉を連想させるので、「あたりめ」に、果物の「なし」も「なし」はよくないので「ありのみ」と呼んだりする、というようなものが、例として挙げられると思います。
このように、昔から私たちは、言葉には力があると考え、悪いことを連想させるような言葉を使うことを避けてきました。
言葉は、コミュニケーションツールとして、私たちの日常生活に欠かせませんが、言葉には、人を傷つけたり、誤解を与えたりするような力も ありますので、言葉の使い方には、十分注意しなくてはなりません。
もちろん、その一方で、言葉には、人を励ましたり、勇気づけたりする力もあります。
困っている人に優しい言葉をかけたり、目標に向かって努力している人を応援したりすることで、相手の心を大きく動かすこともできます。
そして、そのような言葉を用いることで、相手の人だけでなく、自分自身も、明るく、前向きに考え、行動することができるようになるのではないでしょうか。
言葉は、自分の心を映す鏡だと言われます。自分がどんな人間になりたいのかを考え、なりたい自分にふさわしい言葉の使い方を、普段から、意識しながら、家族や友人、先生たちとの会話を楽しんでほしいと思います。
以上、新しい年次を迎える心構えとしてお願いし、第3学期終業式の式辞とします。