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PTAだより第55号「ひまらや杉」

2024年7月19日 10時29分
校長室より

川之石高校PTAだより第55号「ひまらや杉」で、次のような話を述べさせていただきました。

私が川之石高校に赴任して2年目となりました。赴任して以降、いろいろな場面で、生徒の皆さんにお話をしたり文章を書いたりしてきましたが、かつては私も生徒として、先生方のお話を聞く立場でした。そのお話の中で、印象に残っている言葉に、「己の分を知れ」というものがあります。

この「己の分を知れ」という言葉は、中学3年生の時の担任の先生が、卒業を前にした私たちにされた話の中で出てきた言葉です。「分」とは、人としての器、能力の程度というような意味でしょう。中学を卒業し、これから高校生になろうという生徒たちへの言葉の多くが、「君たちには無限の可能性がある」「君たちの前には輝かしい未来が待っている」というようなものである中で、「自分の能力はこの程度のものであるということを自覚しなさい」というこの言葉は、強く印象に残りました。と同時に、当時は、なぜ「身の程を知れ、高望みをするな」というようにも聞こえる、このような消極的なことを言うのかな、と疑問に思ったものです。

しかし、その後、高校生、大学生、となり、その担任の先生と同じ教員という職業に就いてから、この言葉は決して消極的なものではなかったのだということが分かってきました。「分」、すなわち自分の能力の限界を知るためには、まず限界まで努力しなくてはなりません。ぎりぎりまで努力した人だけが、自分の限界、「分」を知ることができるのです。そして「分」を知り自分の限界を自覚してこそ、それを最大限に活かすためにはどうすればよいのか、考え、工夫することができるようになるのではないでしょうか。

自分の「分」を知ることは、積極的で前向きな生き方につながります。逆に言うと、今、努力をしないまま、「やればできるはず」「いつかできるはず」と思うだけでは、自分の「分」、自分の能力の限界を知ることはできませんし、自分の能力を最大限に活かすこともできないのです。

私は、川之石高校の生徒たちに、高校生のうちに、是非、自分の「分」を知ってほしいと思いますし、そのために、勉強でも部活動でも、精一杯の努力をしてほしいと思います。自分の限界を知るということは、ある意味、厳しいことかもしれませんが、それがあってこそ、ではどうするか、という次の段階に踏み出せるのだと思います。そして、そのような生徒のチャレンジを、川之石高校教職員全員で、支えていきたいと考えています。

最後になりましたが、本校は、今年、創立110周年を迎えます。記念式典や記念講演、記念文化祭等を計画しておりますので、保護者や地域の皆様には、是非、ご参加いただきたいと思います。今年度も、引き続き、本校の教育活動にご理解とご協力をお願いいたします。