川之石高校PTAだより 第49号「ひまらや杉」
2022年7月28日 09時08分 本校PTAだより 第49号「ひまらや杉」に、「大切にしたい『姿勢』」と題した文章を書かせていただきました。
校長は残念ながら授業を受け持ちません。ですから、式辞や学校行事でのあいさつなどの機会を、生徒に語りかけることのできる貴重な授業時間だと思い、大切にしています。
式や行事に応じて話す内容は異なっても、繰り返し伝えていることの一つは、何かに取り組むときや人と向き合うときの、心の持ち方や取り組み方、すなわち「姿勢」についてです。基礎・基本をいつも意識し、小さなことやさりげないことを大切にする。相手の状況や気持ちを思いやりながら言葉のキャッチボールに努める。そして、相手に投げかける言葉そのものを大事に選ぶ。生徒と教職員がともに、これらの姿勢を保ち守り続けようとすれば、校歌に歌われている、生徒が深き真を究め、清き心を育み、若き力を伸ばすことのできる学校になると信じています。
特に、様々なことに取り組む中で味わう喜びや幸福感からだけでなく、悲しみや挫折感からも人としての豊かさを身に付けていく生徒にどのような言葉をかけるか。これまでずっとそれを気に掛けてきました。そのような中で、以前に先輩教員から聞いた話を紹介いたします。
ある年の愛媛新聞の「つぶやき」の欄に、松山市のある母親からの投稿が載っていました。内容は、「県外で一人暮らしの娘が電話口で泣いた。『傷つくことばっかり』」これに対し母親は「傷つけられているのではない。磨かれているのよ。」と諭した、というものだったそうです。そして、その先輩教員は、こう話を続けられました。「自分は磨かれているのだと視点を変えるだけで、今していることが自分にとって、とても意味のあることに変わる。その時々の痛みを、自分を磨いてくれる、鍛えてくれるものだと考えることこそ大切なのではないか」。投稿者のわが子への言葉かけと、先輩教員の言葉は、「自分を鍛える」という視点を持てば、自分の、人としての豊かさを増すことにつながると改めて教えてくれるものでした。言葉を大事に選ぶという姿勢を意識していたからこそ、それに気付けたのだと思います。
生徒たちには、様々な未来が広がっていきます。先に述べた「姿勢」を保ち守る雰囲気を学校全体に醸成し、生徒たちの可能性を高め、力を育み続けます。