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令和3年度「進路の手引き」巻頭言

2021年8月11日 16時53分

 夏休み前に、本校の進路課が作成した令和3年度「進路の手引き」を生徒たちに配布しました。巻頭言として、「Imagine(想像して)」と題したメッセージを書きました。
 生徒の皆さん、どのような夏休みを過ごしていますか。どうか、新型コロナウイルス感染症や熱中症に十分注意して、健康で有意義な夏休みにしてください。

 3年次生の皆さんは、少しずつ近づいてきた就職や進学の準備をしたり対策を行ったりしているでしょう。2年次生の中には、自分の適性や能力に合う進路選択に悩んでいる人がいるかもしれません。1年次生は、授業やホームルーム活動などをとおして自分の進路を考え始めているのではないでしょうか。進学を希望している人も含め、やがては多くの人が仕事を通じて社会と深く関わることとなります。そのため、進路について考えるときには、仕事や職業に焦点を当てると筋道がわかりやすくなることがあります。
 そこで、皆さんに取り組んでほしいことがあります。それは、「楽しくやりがいのある仕事をしている自分の姿を想像してみる」ということです。そして、「自分はどのような仕事に楽しさや、やりがいを感じるか」ということを考えてもらいたいのです。仕事の目的の一つはお金を手に入れることなので、お金を多く稼ぐことができる仕事を挙げる人もいるでしょう。一方で、お金はもちろん大事だが、それよりも、自分の興味や関心のあることに取り組めたり、自分の能力や適性を発揮できたりすることを優先し、それらができる仕事を答える人もいるでしょう。いずれにせよ、「自分の姿」を想像しつつ、「楽しさや、やりがい」について考えることで、進路の夢は実現に向けて動き出す、と思っています。では、夢を実現するためには何をすればよいか。皆さんに三つのことを勧めます。
 まずは、「自分を知る」ということです。どの仕事も誰かのためになり、社会になくてはならないものです。そのような仕事本来の意義に加え、楽しさや、やりがいを感じられれば、働く意欲がより高まり、そのような仕事ができる職業は天職と呼べるかもしれません。ただ、楽しさや、やりがいを強く意識できるためには、自分の得意なことや不得意なこと、長所や短所などを知っておくことが重要となります。授業や学校行事、部活動などに積極的に取り組むことで、自分の様々な面に気付き、しかも、それらすべてを、自分の大切な一面として受け入れてほしいと思います。
 その上で、自分の「強み」、すなわち、得意なことや長所であるだけにとどまらず、他の人に対してもよい影響を及ぼしたり利益をもたらしたりするような、自分の「よさ」を生かすことを考えてほしいのです。皆さんにはどのような強み(よさ)がありますか。性格の強みで言えば、クラスの雰囲気がよくなるように盛り上げたり、何事にも積極的に取り組んだりする人には、ユーモアや好奇心、勇敢さやリーダーシップ等の強みがあるでしょう。目立たない役割でも丁寧に取り組み続けることができたり、人の気持ちになっていろいろな立場の人の意見を尊重できたりする人は、忍耐力や誠実さ、柔軟性や親切心等の強みを持っているでしょう。それらの強みを把握した上で、「その強みを生かしきれば、どんなことができるか。それを生かせる仕事や職業にはどのようなものがあるか。それらの仕事や職業に就くためには、どのようにすればよいか」、と考え、調べてみてください。自分の弱いところばかりに目を向けるのではなく、強みに注目することで、新たな進路が見えてくることがあります。ただし、自分では弱みだと思っていたことが、見方を変えれば強みの場合もあり、自分の弱いところも大切にしてもらいたいのです。
 そして、進路目標を達成するために、バックキャスティングという考え方を活用してみましょう。「今」を出発点として、その時々の状況の中で実現可能と考えられることを積み上げながら、未来の目標を目指す考え方をフォアキャスティングといいます。一方、バックキャスティングは、「未来」のある時点に目標を設定しておき、そこから振り返って現在すべきことを考える方法です。例えば、就職や進学の試験に備え、受験に必要な学習内容等を把握し、計画を立てて勉強している人は、この発想法をすでに使っています。そのやり方をこれからも続け、目標を達成し、やがては夢を実現してください。
 進路について迷ったり、疑問に思ったりしたときには、『進路の手引き』がとても参考になります。そして、先輩方が書かれた「合格体験記」を読んでいると、同じように悩み、苦労をしながらも、工夫や努力を続けられた先輩方の声に励まされ、前向きな気持ちになります。たぶん先輩方も、将来の自分を一生懸命に思い描きながら頑張られたのでしょう。「想像する」という行為の中には、夢を現実に変える力があります。