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愛媛県立川之石高等学校第74回卒業証書授与式(卒業生に贈る言葉)

2023年3月1日 15時11分

 令和5年3月1日(水)、本校体育館で、ご来賓と保護者の方々のご臨席のもと第74回卒業証書授与式を挙行し、式辞にて卒業生の皆さんに次のような話をいたしました。

 校庭の木々の芽も膨らみ、暖かい春の訪れが感じられる今日の佳き日に、御来賓のPTA会長・篠澤隆之様並びに保護者の皆様方の御臨席を賜り、令和四年度 愛媛県立川之石高等学校 第74回卒業証書授与式を挙行できますことは、我々教職員一同にとりまして大きな喜びであります。厚くお礼を申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与いたしました91名の皆さん、卒業おめでとうございます。拍手を送りお祝いを申し上げます。また、保護者の皆様には、お子様の御卒業まことにおめでとうございます。大切に慈しみ育ててこられたお子様がこのように立派に成長され、本日ここに卒業の日を迎えられましたこと感慨もひとしおのことと拝察いたします。心からお喜びを申し上げます。
 さて、卒業生の皆さんは在学中の3年間、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、授業や学校行事、部活動などの教育活動において様々な制約を余儀なくされました。皆さんの安全・安心のためとはいえ、我慢を強いられる中で戸惑いや不安、落胆や不満、心残りや寂しさを感じた人も多かったでしょう。高校時代が生徒にとって、社会人となる前の貴重な時間であることを知る私たち教職員にとっても、焦り、悩み、試行錯誤しながら皆さんと共に歩んだ三年間でした。
 そのような中にあっても皆さんは、困難な状況を受け止め、自らすべきことやできることに真面目に向き合い、やりがいや楽しみを積極的に見いだしながら一生懸命に取り組まれました。私は、その姿を見るたびに感心し頼もしく思ってきました。誰も経験したことのない「コロナ禍」を乗り越えてこられた皆さんです。これからも自信をもって前へ進んでください。
 そこで、皆さんに一つだけお願いがあります。私たちの身の回りの衣服や食品、日用品など、ほとんどすべての物は誰かによって作られたり運ばれたりしたものです。また、私たちは学校や職場、地域において、互いに支えたり支えられたりしながら活動しています。つまり、私たちは助け合って生きています。人間のこの基本的で厳粛な在り方を忘れず、感謝の気持ちと「ありがとう」の言葉を大事にして欲しいのです。どのようなことでも助けてもらったときに、「ありがとうございます」と自然に口にする人は素敵ですし幸せです。なぜなら、その人自身が優しい人であり周囲の優しさに気付くこともできる人だと思うからです。
 終わりになりましたが、保護者の皆様方には長い間、本校を温かく見守ってくださり、多大なる御支援と御協力を賜りましたこと、深く感謝を申し上げます。
 卒業生の皆さん。仏教の天台宗の開祖である最澄の教えの中に、「一隅を照らす」というものがあります。「一隅」とは自分のいる場所、自分が置かれた場所のことをいいます。ですから、自分の居場所で自らが光り輝くことによってその場を明るくすること、これが「一隅を照らす」という言葉の意味です。最澄は、国の宝とはお金や財宝ではなく、一隅を照らすことやそのような人こそが貴い宝と説いています。
 皆さんがこれから、それぞれの場所でそれぞれの役割を精一杯果たしながら自分らしい人生を歩まれることを願い、皆さんの御多幸と御活躍をお祈りし式辞といたします。

  令和5年3月1日
  愛媛県立川之石高等学校長 佐々木 進