進路の手引き「巻頭言」
2023年7月14日 10時30分進路指導は、学校、そして教職員の仕事の中でも、最も大切な、最も責任の重いものだと考えています。
1学期末配布の、令和5年度進路の手引き「巻頭言」で、次のような文章を書かせていただきました。
〇高校生がなりたい職業は
昨年末、LINEリサーチが、日本全国の高校生を対象に、なりたい職業について調査した結果を公開しました。
それによると、男子は、1位:公務員、2位:システムエンジニア・プログラマー、3位:機械エンジニア・整備士、4位:教員、5位:事務職・営業職で、女子は、1位:公務員、2位:看護師、3位:教員、4位:保育士、5位:事務職・営業職でした。
これを見ると、身近で、イメージしやすい職業が並んでいることが分かります。
〇どんな職業があるのか知ろう
逆に言うと、身近になく、イメージしにくい職業については、なりたいと思わないし、そもそも思いつくこともできないですよね。皆さんは、東京のオフィス街や、大学や企業の研究機関が集まった学園都市といわれるような街を歩いたことがありますか。私は、社会人になってから初めてそのような街を訪問したのですが、そこには、テレビ局や出版社、有名ファッションブランド、商社、宇宙や航空・海運、情報通信、といった、地方にはない企業や研究機関の建物が並び、多くの人々が働いていました。中には、黒塗りのリムジンの後部座席に座って新聞を広げる、典型的な大企業の重役といったような人もいて、本当に、こんな映画に出てくるような職業に就いている人が、この世の中にはいるんだなあと感心するとともに、自分自身も、このような街に生まれていたら、違った職業を選んでいたかもしれないなあと感じたことを覚えています。
私たちが住む地方の町は、中央の都市に比べて、どうしても職業の種類が少なく、イメージがつかみにくいというハンデがあります。幸い、今は、ネットが発達し、必要な情報を手に入れやすくなっていますので、まずは、どんな職業があるのか、知るところからスタートしてみましょう。
〇興味を持てる職業があったら調べ行動してみよう
いろいろな職業について知る中で、興味を持てるものがあったら、その職業について調べてみましょう。その職業に就くためには、どんな資格がいるのか、その資格を得るためにはどのような学校に進んだり、実務経験を積んだりする必要があるのか、そのためには高校在学中に、どのような科目を選択し、どれくらいの成績を取っておくべきなのか、などが分かってくるはずです。また、学費がどれくらいかかるのか、授業料減免制度を使えば学費をどれくらいまで抑えられるのか、奨学金にはどのようなものがあるのか、などについても調べてみましょう。2020年度から、国の新しい給付奨学金(返済不要)も始まっています。進学資金の計画を立てるときのシミュレーションができるWebサイトもあります。自分で調べたり、先生に相談したり、実際に学校や会社を訪問したりしてみましょう。修学旅行の時に、自分が興味を持っている学校や会社を訪問した人もこれまでにはいましたよ。
よく調べ行動しないまま、学力面や経済面から、自分の進路に限界を設けてしまうのはもったいないと思います。進路は、先が見えないという意味で迷路と似ていますが、迷路も、まずは進んでみないと、選んだ道が正しいのか行き止まりなのかは分かりません。進路も、まずは進んでみることが大切です。行き止まりだったら引き返せばいいだけです。今、人生は100年時代と言われています。やり直す時間は十分にあります。
〇納得できる進路選択をしよう
誰でも、「あのときこうしていたらなあ」と考えることはあると思います。人は、いろいろな経験をしたり知識を身に付けたりしながら、だんだんと成長していくものですから、成長した今の自分が、過去の幼かった自分の行動を振り返って、このように感じることがあるのは、ある意味当然だと思います。
進路についても同様です。今、皆さんは、自分の進路を決定したり決定しようとしたりしているところだと思いますが、将来、高校時代に選択した進路について、後悔することがあるかもしれません。
しかし、そのようなときでも、それが、高校生の自分なりに、精いっぱい調べ行動した結果であるのなら、納得はできるのではないでしょうか。
皆さんの進路選択が、将来、納得できるものとなるよう期待し、応援しています。