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PTAだより第52号「ひまらや杉」

2023年7月20日 12時39分
校長室より

7月20日発行の、川之石高校PTAだより第52号「ひまらや杉」に、「成長期は人それぞれ」の題で、次のような文章を掲載させていただきました。

 

 プロ野球の選手やJリーグのサッカー選手には、4~6月生まれが多いという話を聞いたことがあるでしょうか。サッカーのユース代表では、4〜6月生まれと1〜3月生まれで、選ばれた人数に10倍以上の差が出ることもあるということです。

 このことについて、ある研究者が、スポーツにおける生まれ月の影響を調べるため、小学1年〜中学3年の身体・体力測定の記録を、4〜9月生まれ:「前期」、10〜3月生まれ:「後期」として分析したところ、男子は小1〜中3の全学年で、女子も小1〜小4年で、前期の方が後期よりも、身長・体重などの身体特性と、走力・握力などの運動能力の数値が、平均して高いとの結果がでたそうです。

 研究者は、野球やサッカーの選手に前期生まれが多いことについて、前期生まれは幼い時の成功体験や周囲からの高い評価が自信になること、後期生まれはその逆になることの影響があるのでは、と分析していました。

 この話に、私が興味を持っているのは、私自身が、小学生の頃、背も小さく、自分は運動が苦手なのだと強く思っていた経験があるからです。中学生になって、背も伸び、スポーツテストなどで結果が出るようになっても、自分の中では運動が得意という気持ちはなりませんでしたし、その感覚は高校生になっても続きました。ようやく、運動に自信が持てるようになったのは、大学生、教員になってからだったのではないでしょうか。

 私は、幼いころからの成功体験や他人からほめられた経験(失敗した体験やほめてもらえなかった経験)は、大人が思っている以上に、子供に長く影響を与えると感じています。今回の話は、運動面に関するものでしたが、これは勉強面でも同じだと思いますし、また、生まれ月が前期であっても、成長の時期が遅い子供はいるはずです。

 前述の研究者は、「後期生まれの子供は、同学年でなく1つ下の学年と比べてみるなど、きちんと個人の能力を見てあげてほしい」、「自信をなくしてしまった後期生まれの子供に、『あなたに才能がないわけじゃない』と励ましてほしい」、「でないと、子供が持っている能力を開花させるチャンスを逃す可能性もある」と述べています。

 人生100年と言われる時代、子供の成長の時期には差があることを心にとめ、あせらず、長い目で、それぞれのよいところを見出していくことが大切だと考えています。