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1年次校内集団研修での講話

2022年4月28日 08時28分

 4月27日(水)、1年次生校内集団研修を実施しました。その中で、これから3年間、川之石高校(川高)で学ぶ1年次生に、次のような話をいたしました。

 入学式から2週間が過ぎました。緊張が解けず、落ち着かない気持ちで学校生活を送っている人は多いでしょう。新しい環境や人間関係が始まるときは、誰もが不安や心配などで心と体がとても疲れるものです。自分の力を信じて、焦らずに少しずつ高校生活に慣れていってください。
 今日は、約30年前、私が教員になったばかりのころに、同じ学校に勤めておられた先輩教員からお聞きした話を紹介します。新入生の皆さんにとって、少しでも参考になればうれしいです。
 その先輩教員は、かつて、ある高校で柔道部の顧問をされ、ご自身も柔道経験者であり、その柔道部は県大会で常に上位入賞を果たす強い部でした。あるとき、高知県で合宿をされ、泊った旅館に、高知県のある高校の野球部も宿泊していたそうです。そして、夕食時に、その旅館の主人と話をしていると、同じ宿に泊まっていた野球部について、「あの野球部は、これから強くなりますよ」と言われたのだそうです。先輩教員が「なぜですか」と聞くと、「スリッパの脱ぎ方でわかります」と言われたので、見に行ってみると、自分の学校の生徒たちのスリッパが乱雑になっている一方で、野球部の生徒たちの分は、きれいに並んでいたそうです。やがて本当に、その高校の野球部は甲子園出場を繰り返す強豪校になりました。
 当時の私が先輩教員の話から学んだことは、まず、何事も丁寧に行うことが大事であるということです。スリッパの脱ぎ方に気を配るとは、細かなことにまで意識を向けるということです。部活動の試合でも、対戦相手の状況をしっかりと把握し、変化を見逃さないことはとても重要です。
 次に、自分の発言や行動によって相手がどのような気持ちになるかを考え、相手のことを思う誠実さが大切である、ということです。先ほど話した旅館の主人は、礼儀正しいあいさつをして履物をそろえるなど、周りの人の気持ちが明るくなるような行動に努める部員たちの行いや心配りをみて、多分、その野球部の活躍を期待し、応援したい、と思われたことでしょう。人は誰でも、誠実な行いをする者に対して好意をいだき、手助けをしたくなるものです。本校の校訓の一つは、その「誠実」です。自分のことばかりを考えるのではなく、真心をもって人と接し、自分と同じように他の人も大事にする誠実な心を、どうか大切にしてください。
 今日は、二つのことを話しました。一つは、何事も丁寧に行うことが大事であるということ。もう一つは、相手のことを思う誠実さが大切であるということです。皆さんが、このことを忘れず、楽しく充実した学校生活を送られることを心から期待しています。