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平成31年度入学式

2019年4月10日 07時00分

 春風が桜の花びらを揺らす今日の佳き日に、多数のご来賓のご臨席を賜り、第72回入学式を挙行できますことは、在校生、教職員一同の喜びであります。心よりお礼申し上げます。ただ今入学を許可しました、107名の新入生の皆さん、入学おめでとう。高校生活への希望と期待、不安を胸に、今日の日を迎えたことでしょう。 

 ここにある校旗をご覧なさい。実践農業学校に始まり、川之石高等女学校、そして川之石高等学校、この間本校は、社会に有意な人財を送り出してきました。この3つの校旗が、105年目の歴史の重みと使命を物語っています。

 さて、そういった先輩方に続くべく、皆さんは本日より勉学や部活動に励みます。そこでその心得えをお話しします。

 去る2月22日、歴史的快挙がありました。惑星探査機ハヤブサ2が、小惑星リュウグウに着陸し、タッチダウンと共にサンプル回収にも成功しました。地球から3億キロ、3年余りかけて、半径3mにピンポイントで着陸したのです。宇宙開発技術の粋を極めたミッションの成功に世界が沸き立ちました。さて、リュウグウ到着までの間、地球との交信が切れ目なく行われ、言わばJAXAの指令通り飛行を続けたハヤブサですが、リュウグウの地上45mに達してからの41分間、ハヤブサは自立飛行に切り替えていました。機体に迫る危険を正確にキャッチするために、地球との交信を捨てたのです。まるで知能を持った生き物のように、自らを安定飛行させ、異常をキャッチするとリボートと言って、緊急上昇することも覚えていました。リュウグウの地表面の複雑さに対応するために、自らの機体を傾けることも判断しました。つまり従順に信号に従うことと、自分で判断することで、タッチダウンに成功したのです。

 このことを皆さんの高校生活に置き換えるとどうでしょう。これから始まる本校総合学科ならではの系列学習、毎日の学習の中で先生方から新しい知識を貪欲に吸収しなればなりません。そしてハヤブサのように自分で考え判断し、ここぞという時、挑戦することも必要です。ハヤブサと違うところがあるとすれば、それは、知識・技術の吸収と判断・表現の場面が、ひとつの授業・部活動の中で常に混在することです。

 3年後、皆さんが本校を卒業するときには、確かな知識、技術の上に、考え抜く力、考えた結果を伝える力が求められます。それが令和に求められる、生きる力です。

 ハヤブサ2が偉業を成し遂げられたのはなぜでしょう。それは、リュウグウの岩石に有機物が存在すれば、生命誕生の謎が解明できる。地球上の生命はどこから来たのか、仮説を検証できる。45億年前に地球が誕生したことを考えれば、ハヤブサの偉業は45億年かけた謎への壮大な使命と目的があったから成し遂げられたと言えます。皆さんも3年後、本校を飛び立つ日が来ますが、今日この時に、自らの目的を明確にして、そしてぶれることなく高校生活のミッションを果たしましょう。

 結びに、保護者の皆様。お子様の入学おめでとうございます。本日お子様をお預かりします。ハヤブサが頼りにしていたJAXAのように、しっかり教え導く場面と自立を促す場面を、教職員は指導して参ります。過保護、過干渉にならず、ましてや自由、放任にならず、日々お子様との望ましい距離を、学校と連携する中で確め、充実した高校生活になりますよう、そして3年後、逞しい巣立ちが訪れますようお願い申し上げます。

 ご出席のすべての皆様に、本校に対するご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げて式辞といたします。