第1学期終業式
2025年7月18日 10時50分第1学期終業式の式辞として、次のような話をさせていただきました。
改めまして、おはようございます。今日は7月18日、第1学期の終業式です。そして、明後日の7月20日には、参議院議員総選挙が行われます。選挙権は、18歳の誕生日を、選挙日の翌日までに迎える人が有する、とされていますので、7月21日までに誕生日を迎える本校生、15名が、国政選挙で、初めての投票をすることになります。
ところで、選挙があると、そのたびに、「大事な選挙です。必ず投票に行きましょう」というようなCMが流れるので、権利であるはずの投票を、まるで義務であるかのように感じている人がいるかもしれません。また、これとは少し違いますが、義務教育、という言葉についても、誤解している人がいるということを、聞いたことがあります。義務教育の義務は、保護者が、子供に、教育を受けさせる義務です。子供が、持っているのは、教育を受ける権利です。
選挙権も教育を受ける権利も、自分が自分らしく生き、自分の夢を、誰にも邪魔されることなく実現するために、なくてはならない権利です。どちらの権利も、多くの先人たちが、市民革命など、長い歴史の中で、命を懸けて勝ち取ってきた、大切な権利である、ということを、この参議院議員選挙を機会に、もう一度、考えてほしいと思います。
ところで、皆さんは、時効という言葉は知っていますか?よく、知られているのは刑事時効と民事時効で、刑事時効は、犯罪が起きてから一定期間が経過すると、その犯罪を追及できなくなることを言い、民事時効は、貸したお金や物の請求が、できなくなることを言います。皆さんも、昔の恥ずかしい話や、友達への借りについて、「もう時効」などと使ったことがあるかもしれません。
では、なぜ、時効というものがあるのでしょうか。いろいろな説明がありますが、その一つに、「権利を大切にせず、放っておくような者は、保護しない」、という考え方があります。権利があることを当たり前と思い、それを守るための努力を怠れば、その権利は失われても仕方がない、 というのが、法律の考え方なのです。選挙権や教育を受ける権利についていうと、例えば、投票所や学校の数・場所が変わると、そこに行くための時間や費用も変わります。そのことに無関心でいると、投票や勉強が、しにくくなってしまうかもしれません。
そしてこの、今、あるものを当たり前と思い、それを守ることを怠ると、それを失っても仕方がないという考え方は、権利に限らず、人との関係などについても言えるのではないでしょうか。友人や保護者、先生といった、皆さんのことを、大切に思ってくれている人の存在を、当たり前に思い、その関係を守る努力をしなければ、その大切な関係は、失われてしまうかもしれません。
今回の参議院選挙を、自分の周りにある大切なものに気付き、それを守る努力を始める、きっかけとしてもらえるようお願いし、終業式の式辞とします。