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サクラヒメ、淡く優しい花です。本日終業式

2019年3月20日 10時00分

 

卒業式で飾りましたが、花もちも思った以上に良いようです。

終業式式辞

 つい先日、始まったと思っていた3学期が終わります。同時に1年も本日終了します。短かった3学期、短かった1年間、そんな風に私は感じていますが、皆さんはどう感じていますか?

 北門を出たところに、生け垣があります。ベニカナメモチと言います。昨年6月に苗を植えました。厳しい夏の日差しや冬の北風に耐えて、今では草丈も20㎝伸び、茎も太くなってきました。

 皆さんもこの1年間で1年分の成長があったことと思います。成績表をいただける本日、自分自身を振り返りましょう。

 終業式に当り、ある小説家と友人のお話をします。

 文学を志すある青年が、初めて小説を書きました。ところが執筆の途中、全くペンが進まなくなりました。スランプです。途方に暮れた青年は、同級生に愚痴をこぼしました。

 「僕は何も書けなくなってしまった」「はじめはスイスイ書けたのに、どうすればいいんだろう」

 そのとき友達は、高い山、出石寺のあるお出石さんのような高い山を指さして、「山というのは、その山が高ければ高いほど、実は途中の道には下り坂が多いんだよ。調子がいい時は、登山でいうと登り坂のようなもので、どんどん足が進む。

 調子が悪い時は、実は、下りの道を歩いていて、ちっとも進まないように感じるんだ。でも、実際はかなり進んでいるんだ。高い山ほど、実は下り道は多いんだよ。 

 君が目指す小説は、限りなく崇高だから簡単にできないのは当然なんだ」と彼を励ましました。

 そして難航の末、中編小説「月の都」を書きあげました。

 これは、俳句を志す前の正岡子規に、夏目漱石が助言した言葉です。正岡子規は最初は小説家を目指していた時期があったんです。そのとき、漱石は大親友でした。 

 本の一説です。脚色はありますが、二人が互いに競い合い、互いを信頼し、尊敬していたのは、よく知られていることです。

さて皆さんは、この1年間友達を大事にしましたか?友達の間で上下関係ができたりしていませんか?友達に命令したり、いたずらしたり、SNSで誰かをあざけ笑ったりしていませんか?

 正岡子規と夏目漱石は、お互いの良いところと、まだまだ成長してないところを認めたうえで、互いに成長し、共に歴史に残る文学者になりました。

 友達とは、仲間とは、互いに尊敬しあうものです。

 北門のベニカナメモチには新しい芽が吹いてきました。新たな成長の枝が伸びはじめました。

 明日から2週間、春休みを終えたのち、新しい年次で、心も体もしっかり成長した皆さんと元気にお会いしたいと思います。有意義な春休みにしましょう。