始業式式辞
2019年1月9日 07時00分明けましておめでとうございます。年末年始、皆さんはどのように過ごしましたか。
教室では、補習に励む1,2年次生、最後の追い込みをする3年次生の姿がありました。また校内外で技術を磨いたり、地域に貢献する文化部の皆さん、合宿や大会で自分を鍛えている運動部の皆さんの姿がありました。
私はこのお正月、気になっていた本をまとめて8冊読みました。読書は著者と同じ気持ちになったり、違う感情が沸いて来たり、知らなかったことが分かったり、一冊読み終えるごとに、何やら心が豊かになった気分になります。
お正月に読んだ本の中に、皆さんのことを思い浮かべる言葉がありました。書初めにしましたので、紹介したいと思います。
「虚往実帰」虚にして往き実にして帰る、と訓読します。
行くときは何も分からずに空っぽの心で行って、帰るときは充実して満足しているという意味です。これは、弘法大師 空海が遣唐使として中国に渡り仏教を学んだことに因みます。
空海は荒波を乗り越え、4艘のうち2艘が遭難する中、何とか唐に到着します。お経を読むために、まず梵語を自主勉強しました。しかし仏教を誰に学ぶかあてがなく困っていました。しばらくして、空海は自分からあるお寺の門を叩き、恵果(えか)というお坊さんを訪ねます。
一目で、空海の素質と熱意を見抜いた恵果は、10年は掛かるであろう教えを数か月で教え切ったそうです。当初20年間の予定で留学した空海でしたが、2年ほどで帰国しその教えを広めることになった、ある本にはそう書かれていました。
虚往実帰、転じて、先生から無形の仁徳を受け取るとも解釈されます。
さて、3年次生、自分の今の状況に応じて、羽ばたく準備をシッカリしましょう。2年次生、最高学年になるための知識や態度は十分ですか?1年次生、選択科目は決まりました。新しい学習の土台はできていますか。
1月は行く、2月は逃げる、3月は去ると言い、あっという間に3学期は終わります。春には新元号となり、さらに気持ちも新たになることでしょう。
この3学期、先生方からたくさんのことを進んで吸収し、「実にして帰る」ことを願って、短く式辞とします。